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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成20年労基-第4問(労働基準法に定める労働時間等)

労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)労働基準法が規制対象とする労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、その具体的な判断においては、労働契約、就業規則、労働協約等の定めに従い決定されるべきであるとするのが最高裁判所の判例である。

(B)1日6時間、週6日労働させることは、労働時間の原則を定めた労働基準法第32条の規定に反するものとなる。

(C)使用者は、労働基準法第34条第3項に基づき、休憩時間を自由に利用させなければならないこととされており、使用者がその労働者に対し休憩時間内に職場内で政治活動を行うことを禁止することは許されないとするのが最高裁判所の判例である。

(D)労働基準法第38条の4に規定するいわゆる企画業務型裁量労働制を採用する場合には、適用される労働者の同意を得なければならないことにつき労使委員会で決議しなければならないが、労働基準法第38条の3に規定するいわゆる専門業務型裁量労働制の採用に当たって、適用される労働者の同意を得ることについて労使協定で定めることは、労働基準法上求められていない。

(E)労働基準法第41条第2号により、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用が除外されているいわゆる管理監督者については、適用除外の要件として行政官庁の許可を得なければならない。



■解説

(A)誤り
三菱重工業長崎造船所事件(平成12年3月9日最高裁判決)
最高裁判所は、労働時間について「労働基準法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるものではない。」と判示している。
よって、問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法32条
労働基準法では、休憩時間を除いて1週間に40時間、1日8時間を超えて労働させてはならないことになっている。
よって、問題文の例だと1週36時間、1日6時間で法定労働時間の範囲内となり、「労働基準法第32条の規定に反する」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
電電公社目黒電報電話局事件(昭和52年12月13日最高裁判決)
最高裁判所は休憩時間について「労働基準法34条3項に基づく休憩時間の自由利用は、時間を自由に利用することが認められたものに過ぎず、その利用が企業施設内で行われる場合には施設管理権の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れず、また企業秩序維持の要請に基づく規律による制約を免れないから、企業施設内における演説、集会、貼紙、掲示、ビラ配布等を休憩時間中であっても使用者の許可にかかわらしめることは合理的な制約である。」と判示した。
よって、問題文は誤りとなる。

(D)正解
法38条の3、法38条の4
企画業務型裁量労働制を採用する場合は、適用される労働者の同意を得なければならないことについて労使委員会で委員の5分の4以上の多数による合意により決議することが要件となっている。
しかしながら、専門業務型裁量労働制を採用する場合には、労働者の同意を得ることについて労使協定で定めることは要件とされていない。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法41条
労働時間、休憩及び休日に関する規定は、事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者には適用されないことになっており、行政官庁の許可は要件とされていない。
よって、「適用除外の要件として行政官庁の許可を得なければならない」とした問題文は誤りとなる。
なお、監視又は断続的労働に従事する者については、適用除外の要件として行政官庁の許可を得る必要がある。

  

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