社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成21年労基-第1問(労働基準法の総則等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成21年労基-第1問(労働基準法の総則等)

労働基準法の総則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実にその義務を履行しなければならないが、使用者よりも経済的に弱い立場にある労働者についてはこのような義務を定めた規定はない。

(B)労働基準法第3条が禁止する労働条件についての差別的取扱いには、雇入れにおける差別も含まれるとするのが最高裁判所の判例である。

(C)労働基準法第4条が禁止する女性であることを理由とする賃金についての差別的取扱いには、女性を男性より有利に取扱う場合は含まれない。

(D)労働基準法第5条が禁止する労働者の意思に反する強制労働については、労働基準法上最も重い罰則が定められている。

(E)労働者が労働審判手続の労働審判員としての職務を行うことは、労働基準法第7条の「公の職務」には該当しないため、使用者は、労働審判員に任命された労働者が労働時間中にその職務を行うために必要な時間を請求した場合、これを拒むことができる。



■解説

(A)誤り
法2条2項
労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならないとされており、使用者だけでなく、労働者にも義務を課している。
よって、「使用者よりも経済的に弱い立場にある労働者についてはこのような義務を定めた規定はない」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法3条、三菱樹脂事件(昭和48年12月12日最高裁判決)
「労働基準法3条は労働者の信条によつて賃金その他の労働条件につき差別することを禁じているが、これは、雇入れ後における労働条件についての制限であつて、雇入れそのものを制約する規定ではない。」というのが最高裁判所の判断である。
よって、「雇入れにおける差別も含まれるとするのが最高裁判所の判例である」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法4条、昭和22年9月13日発基17号、昭和25年11月22日婦発311号、昭和63年3月14日基発150号・婦発47号、平成9年9月25日基発648号
女性であることを理由とする賃金についての差別的取扱いには、不利に取り扱う場合のみならず、有利に取り扱う場合も含まれる。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、就業規則に差別待遇の規定があるのみで、差別の事実がないときは違反とはならないが、その就業規則の規定は無効となる。(昭和23年12月25日基収4281号、平成9年9月25日基発648号)

(D)正解
法5条、法117条
強制労働の禁止の規定に違反した者は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処せられることになっており、これは労働基準法上最も重い罰則である。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法7条、平成17年9月30日基発第930006号
労働基準法7条の「公の職務」とは、法令に根拠を有するものに限られるが、法令に基づく公の職務のすべてをいうものではなく、@国又は地方公共団体の公務に民意を反映してその適正を図る職務、例えば、衆議院議員その他の議員、労働委員会の委員、陪審員、検察審査員 、労働審判員、裁判員 、法令に基づいて設置される審議会の委員等の職務、A民事訴訟法第190条による証人・労働委員会の証人等の職務、B公職選挙法第38条第1項の選挙立会人等の職務等とされている。
よって、「労働審判員としての職務」は公の職務に含まれるため、問題文は誤りとなる。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(労働基準法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved