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■平成21年労基-第3問(労働基準法に定める就業規則等)

労働基準法に定める就業規則等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成する義務を負うが、週の所定労働時間が20時間未満のパートタイム労働者は、この労働者数の算定には含まれない。

(B)使用者は、パートタイム労働者など当該事業場の労働者の一部について、他の労働者と異なる労働条件を定める場合には、当該一部の労働者にのみ適用される別個の就業規則を作成することもできる。

(C)使用者が就業規則に記載すべき事項には、いかなる場合であっても必ず記載しなければならない事項(いわゆる絶対的必要記載事項)と、その事項について定めをする場合には必ず記載しなければならない事項(いわゆる相対的必要記載事項)とがある。

(D)使用者は、就業規則の作成だけでなく、その変更についても、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

(E)労働基準法第106条は、就業規則を労働者に周知する義務を定めているが、労働者全員が集まる集会の場で会社の人事担当責任者がその内容を口頭で詳しく説明するという方法をとっただけでは、この義務を果たしたものとは認められない。



■解説

(A)誤り
法89条
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、所定の事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならないとされているが、労働者数のカウントに週の所定労働時間が20時間未満のパートタイム労働者を含めないという規定はない。
よって、問題文は誤りとなる。

(B)正解
法89条、昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号
同一事業場内の一部の労働者につき別の就業規則を作成することは差し支えないが、それも併せたものが法第89条の就業規則となる。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法89条
就業規則には、必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項と定めをする場合においては、記載する必要がある相対的必要記載事項がある。
よって、問題文は正解となる。

(参考)
絶対的必要記載事項
(1)始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合の就業時転換に関する事項
(2)賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期、昇給に関する事項
(3)退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
相対的必要記載事項
(1)退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法、退職手当の支払の時期に関する事項
(2)臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
(3)労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
(4)安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
(5)職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
(6)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
(7)表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
(8)労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項(例えば旅費規程を定める場合)

(D)正解
法90条1項
使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
よって、問題文は正解となる。
なお、労働組合が反対意見があっても、他の要件を具備する限り、就業規則の効力には影響がないとされている。(昭和24年3月28日基発373号)

(E)正解
法106条1項、則52条の2
就業規則の周知方法については、次のいずれかの方法で行う必要がある。
(1)常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
(2)書面を労働者に交付すること。
(3)磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
よって、労働者全員が集まる集会の場で会社の人事担当責任者がその内容を口頭で詳しく説明するという方法によっては周知したものと認めらないため問題文は正解となる。

  

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