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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成23年労基-第4問(労働基準法に定める労働時間等)
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■平成23年労基-第4問(労働基準法に定める労働時間等)

労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、使用者は、その定めに基づき、労働基準法第34条第1項に定める休憩時間を一斉に与えなくてもよい。

(B)使用者が、労働者に対して、4週間を通じ4日以上の休日を与え、その4週間の起算日を就業規則その他これに準じるものにおいて明らかにしているときには、当該労働者に、毎週少なくとも1回の休日を与えなくても、労働基準法第35条違反とはならない。

(C)労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定を締結し、行政官庁に届け出た場合においても、使用者は、1日の労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

(D)労働基準法第36条に定めるいわゆる36協定を締結した労働者側の当事者が労働者の過半数を代表する者ではなかったとしても、当該協定を行政官庁に届け出て行政官庁がこれを受理した場合には、当該協定は有効であり、労働者は使用者の時間外労働命令に従う義務を負うとするのが最高裁判所の判例である。

(E)労働基準法第33条又は第36条に規定する手続を経ずして時間外又は休日労働をさせた場合においても、使用者は、同法第37条第1項に定める割増賃金の支払義務を免れない。



■解説

(A)正解
法34条2項
休憩時間は、一斉に与えなければならないことになっているが、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、一斉に与えなくてもよいとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法35条2項、則12条の2第2項
使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないことになっているが、4週間を通じ4日以上の休日を与える
場合には法違反に問われない。しかし、4週間を通じ4日以上の休日を与える場合には、就業規則その他これに準ずるものにおいて、4日以上の休日を与えることとする4週間の起算日を明らかにするものとされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法34条1項、法36条
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないことになっている。
なお、労基法36条に定めるいわゆる36協定は、時間外労働及び休日労働に関する規定であるため、これを行政官庁に届け出た場合であっても休憩に関する規定は適用される。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
トーコロ事件(平成13年6月22日)
労基法36条に定めるいわゆる36協定締結における「労働者の過半数を代表する者」は当該事業場の労働者により適法に選出されなければならないが、適法な選出といえるためには、当該事業場の労働者にとって、選出される者が労働者の過半数を代表して36協定を締結することの適否を判断する機会が与えられ、かつ、当該事業場の過半数の労働者がその候補者を支持していると認められる民主的な手続がとられていることが必要とされている。
よって、36協定を締結した労働者側の当事者が労働者の過半数を代表する者でなかった場合は、当該36協定は無効となるというのが最高裁判所の判断であり、問題文は誤りとなる。

(E)正解
昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号
労基法36条第1項の協定によらない時間外労働又は休日労働(違法な時間外労働・休日労働)は、法32条又(労働時間)は法35条(休日)違反であるが、法37条の規定(時間外、休日及び深夜の割増賃金)は法32条若しくは法40条(労働時間及び休憩の特例)に定める労働時間を超え又は法35条に定める休日に労働させた場合に割増賃金を支払わねばならないという法意であるから、違法な時間外労働・休日労働であっても割増賃金の支払義務は免れないとされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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