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■平成23年労基-第7問(労働基準法の年少者及び妊産婦等)

労働基準法の年少者及び妊産婦等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)満18歳に満たない年少者については、労働基準法第32条の2のいわゆる1か月単位の変形労働時間制を適用することはできないが、同法第32条の3のいわゆるフレックスタイム制を適用することはできる。

(B)満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者について、労働基準法第56条による所轄労働基準監督署長の許可を受けて使用する場合の労働時間は、修学時間を通算して、1週間について40時間以内、かつ、1日について7時間以内でなければならない。

(C)満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者について、労働基準法第56条による所轄労働基準監督署長の許可を受けて使用する場合には、午後8時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合に地域又は期間を限って午後9時から午前6時までとする場合には午後9時から午前6時まで)の間は使用してはならない。

(D)妊娠中の女性を労働安全衛生法施行令第1条第3号のボイラーの取扱いの業務に就かせてはならないが、産後1年を経過しない女性がその業務に従事しない旨を使用者に申し出ていないときには同号のボイラーの取扱いの業務に就かせることができる。

(E)労働基準法第68条は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない旨規定しているが、その趣旨は、当該労働者が当該休暇の請求をすることによりその間の就労義務を免れ、その労務の不提供につき労働契約上債務不履行の責めを負うことのないことを定めたにとどまり、同条は当該休暇が有給であることまでをも保障したものではないとするのが最高裁判所の判例である。



■解説

(A)誤り
法60条
年少者については、1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制及び1週間単位の非定型的変形労働時間制の規定のほか、労使協定による時間外・休日労働の規定並びに法定労働時間及び休憩時間に関する特例規定は適用されないこととされている。
よって、「フレックスタイム制を適用することはできる」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
法56条、法60条
満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者についての労働時間は、修学時間を通算して、1週間について40時間以内、かつ、1日について7時間以内とされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、就学時間とは、学校教育法に定められている初等普通教育又は中等普通教育の課程を修める時間をいい、それは、当該日の授業開始時刻から同日の最終授業終了時刻までの時間から休憩時間(昼食時間を含む。)を除いた時間と解されている。

(C)正解
法56条、法61条
満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者については午後8時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合に地域又は期間を限って午後9時から午前6時までとする場合には午後9時から午前6時まで)の間は使用してはならないことになっている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法64条の3、女性則2条
就業制限の内容は、妊婦・産婦(産後1年を経過しない女性)・その他の女性により制限される業務が定められているが、ボイラーの取扱いの業務については、妊婦については禁止、産婦については女性が申し出た場合は禁止、その他の女性は就かせても差支えなしとされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、重量物を取り扱う業務については、妊婦・産婦・その他の女性ともに就業禁止となっている。

(E)正解
エヌ・ビー・シー工業事件(昭和60年7月16日)
精皆勤手当制度がある会社において生理休暇取得日も欠勤扱いとされたため生理休暇を取得して手当を減額された労働者らが右制度は生理休暇の趣旨に反し労働基準法違反であるとして右減額分の支払を求めた事件において、最高裁判所は、労働基準法68条は、所定の要件を備えた女子労働者が生理休暇を請求したときは、その者を就業させてはならない旨規定しているが、年次有給休暇については同法39条7項においてその期間所定の賃金等を支払うべきことが定められているのに対し、生理休暇についてはそのような規定が置かれていないことを考慮すると、その趣旨は、当該労働者が生理休暇の請求をすることによりその間の就労義務を免れ、その労務の不提供につき労働契約上債務不履行の責めを負うことのないことを定めたにとどまり、生理休暇が有給であることまでをも保障したものではないと解するのが相当であると判断している。
よって、問題文は正解となる。

  

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