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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成24年労基-第6問(労働基準法に定める年次有給休暇)
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■平成24年労基-第6問(労働基準法に定める年次有給休暇)

労働基準法に定める年次有給休暇に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

(ア)労働基準法第39条に定める年次有給休暇の利用目的は同法の関知しないところであり、労働者が病気療養のために年次有給休暇を利用することもできる。

(イ)労働基準法第39条に定める年次有給休暇について、労働者と使用者の間でその日数に相当する金銭を支給する年次有給休暇の買上げの予約がなされた場合、それが労働者の自由な意思によってなされたものと認められるときには、これに基づいて当該金銭を使用者が労働者に支給することによって、年次有給休暇は消化されたものとされる。

(ウ)労働基準法第39条に定める年次有給休暇権の発生要件の1つである「継続勤務」は、勤務の実態に即し実質的に判断すべきものと解される。したがって、この継続勤務期間の算定に当たっては、例えば、企業が解散し、従業員の待遇等を含め権利義務関係が新会社に包括承継された場合は、勤務年数を通算しなければならない。

(エ)労働基準法第39条に定める年次有給休暇は、暦日単位で付与しなければならないため、時間単位で付与することは認められていない。

(オ)労働者が長期かつ連続の年次有給休暇を取得しようとする場合には、使用者との事前の調整を経なければ、時季指定権を行使することができない。


(A)(アとウ)

(B)(アとオ)

(C)(イとエ)

(D)(イとオ)

(E)(ウとエ)



■解説

(ア)正解
法39条、昭和24年12月28日基発1456号、昭和31年2月13日基収489号
負傷又は疾病等により長期療養中の者が休業期間中年次有給休暇を請求したときは、年次有給休暇を労働者が病気欠勤等に充用することが許されることから、このような労働者に対して請求があれば年次有給休暇を与えなければならないことになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、休職発令により従来配置されていた所属を離れ、以後は単に会社に籍があるにとどまり、会社に対して全く労働の義務が免除されることとなる場合において、休職発令された者が年次有給休暇を請求したときは、労働義務がない日について年次有給休暇の請求をする余地がないことから、これらの休職者は、年次有給休暇請求権の行使ができないとされている。

(イ)誤り
法39条、昭和30年11月30日基収4718号
年次有給休暇の買上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じないし請求された日数を与えないことは、法39条違反になる。
よって、「年次有給休暇は消化されたものとされる。」とした問題文は誤りとなる。

(ウ)正解
法39条、昭和63年3月14日基発150号
継続勤務とは、労働契約の存続期間、すなわち在籍期間をいう。継続勤務か否かについては、勤務の実態に即し実質的に判断すべきものであり、次に掲げるような場合を含むこと。この場合、実質的に労働関係が継続している限り勤務年数を通算することとされている。
(1)定年退職による退職者を引き続き嘱託等として再採用している場合(退職手当規程に基づき、所定の退職手当を支給した場合を含む。)。ただし、退職と再採用との間に相当期間が存し、客観的に労働関係が断続していると認められる場合はこの限りではない。
(2)法21条各号(解雇予告の適用除外)に該当する者でも、その実態より見て引き続き使用されていると認められる場合
(3)臨時工が一定月ごとに雇用契約を更新され、6箇月以上に及んでいる場合であって、その実態より見て引き続き使用されていると認められる場合
(4)在籍型の出向をした場合
(5)休職とされていた者が復職した場合
(6)臨時工、パート等を正規職員に切替えた場合
(7)会社が解散し、従業員の待遇等を含め権利義務関係が新会社に包括承継された場合
(8)全員を解雇し、所定の退職金を支給し、その後改めて一部を再採用したが、事業の実体は人員を縮小しただけで、従前とほとんど変わらず事業を継続している場合

よって、問題文は正解となる。

(エ)誤り
法39条4項、
まとまった日数の休暇を取得するという年次有給休暇制度本来の趣旨を踏まえつつ、仕事と生活の調和を図る観点から、年次有給休暇を有効に活用できるようにすることを目的として、労使協定により、年次有給休暇について5日の範囲内で時間を単位として与えることが認められている。
よって、「時間単位で付与することは認められていない。」とした問題文は誤りとなる。

(オ)誤り
法39条、時事通信社事件(平成4年6月23日)
労働者が長期かつ連続した年次有給休暇を取得しようとするときは、事前の調整が必要であり、労働者がその調整を経ることなく時季指定をしたときは、時季変更権の行使について使用者にある程度の裁量的判断の余地を認めざるを得ないとされているが、事前の調整をしない場合であっても労働者は時期指定権を行使できないわけではない。
よって、「時季指定権を行使することができない。」とした問題文は誤りとなる。

※正解の組合せは、(ア)と(ウ)であるため、(A)が正解となる。

  

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