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■平成24年労基-第7問(労働基準法に定める就業規則等)

労働基準法に定める就業規則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)労働基準法によれば、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、退職手当に関する事項を就業規則に必ず記載しなければならないとされており、また、期間の定めのない労働契約によって雇用される、勤続期間が3年以上の労働者に対して退職手当を支払わなければならない。

(B)常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を記した書面を添付して、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

(C)厚生労働大臣又は都道府県知事は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる。

(D)労働基準法第106条に定める就業規則の周知義務については、労働契約の効力にかかわる民事的な定めであり、それに違反しても罰則が科されることはない。

(E)労働基準法第15条により、使用者が労働契約の締結に際し書面で行うこととされている労働条件の明示については、当該労働条件を記載した就業規則を交付することではその義務を果たすことはできない。



■解説

(A)誤り
法89条
退職手当制度は必ず設けなければならないものではないが、制度があれば@適用される労働者の範囲、A退職手当の決定、計算及び支払の方法、B退職手当の支払の時期について就業規則に規定しておかなければならない、相対的必要記載事項である。
よって、「退職手当に関する事項を就業規則に必ず記載しなければならない」とした点、「勤続期間が3年以上の労働者に対して退職手当を支払わなければならない」とした点から問題文は誤りとなる。

(B)正解
法89条、法90条
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならず、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出をするときに、その意見を記した書面を添付する必要がある。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
法92条2項、則50条
行政官庁(所轄労働基準監督署長)は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができることになっている。
よって、「厚生労働大臣又は都道府県知事」とした問題文は誤りとなる。
なお、変更命令は、就業規則を変更すべき義務を使用者に課するにとどまるものであるから、変更命令が出されても、それだけで就業規則が変更されたこととなるものでなく、使用者によって所要の変更手続がとられてはじめて変更されたことになる。

(D)誤り
法106条、法120条
使用者は労働基準法及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、労使協定並びに寄宿舎規則等を労働者に周知しなければならないが、これに違反してこれらの周知義務を履行しない場合は、30万円以下の罰金に処せられることになっている。
よって、「労働契約の効力にかかわる民事的な定めであり、それに違反しても罰則が科されることはない。」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法15条、平成11年1月29日基発45号
労働基準法第15条により、使用者が労働契約の締結に際し書面で行うこととされている労働条件の明示については、当該労働者に適用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えないこととされている。
よって、「当該労働条件を記載した就業規則を交付することではその義務を果たすことはできない。」とした問題文は誤りとなる。

  

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