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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成25年労基-第3問(労働基準法に定める労働時間等)
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■平成25年労基-第3問(労働基準法に定める労働時間等)

労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働組合のない事業場において、労働基準法第36条の規定に基づく時間外労働・休日労働に係る労使協定(以下「36協定」という。)を締結する場合、労働者側の締結当事者たる「労働者の過半数を代表する者」を選出するときの当該事業場の労働者数の算定に当たっては、当該事業場で雇用されて働いているパート、アルバイト等は含まれるが、当該事業場に派遣されて現に指揮命令を受けて働いている派遣労働者は含めない。

(B)1日及び1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること、1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること並びに1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げることは、いずれも労働基準法第24条及び第37条違反としては取り扱わないこととされている。

(C)労働基準法施行規則第23条の規定に基づく断続的な宿直又は日直勤務としての許可は、常態としてほとんど労働する必要のない勤務のみを認めるものであり、定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可することとされている。

(D)労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らかであり、使用者が行う始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法としては、使用者が自ら現認することにより確認し記録すること又はタイムカード、IC カード等の客観的な記録を基礎として確認し記録することが求められている。

(E)事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合において、使用者が、その労働組合と36協定を締結し、これを行政官庁に届け出た場合、その協定が有する労働基準法上の効力は、当該組合の組合員でない他の労働者にも及ぶ。



■解説

(A)正解
法36条、昭和46年1月18日基収6206号、昭和61年6月6日基発333号、昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号
36協定は、当該事業場において、時間外労働又は休日労働の対象となる労働者の意思を問うものではなく、事業上に使用されている労働者の過半数の意思を問うためのものである。
そのため「監督又は管理の地位にある者」、「機密の事務を取り扱う者」、「原則として時間外労働又は休日労働をさせることができない年少者」、「病気などによる休職期間中の者」なども在籍している限り労働者に含める必要がある。(※「監督又は管理の地位にある者」は、労働者の過半数を代表する者にはなれない。)
派遣労働者の場合は、派遣元の使用者と36協定を締結することとされており、この場合の労働者とは、当該派遣元の事業場のすべての労働者であり、派遣中の労働者とそれ以外の労働者との両者を含むものとされているため、派遣先の事業場の労働者数に含めない。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法24条1項、昭和63年3月14日基発150号
割増賃金計算における端数処理について、次の方法は、常に労働者の不利となるものでなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、法24条及び法37条違反として取り扱わないこととされている。
(1)1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業等の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。
(2)1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
(3)1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業等の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
よって、時間外労働、休日労働及び深夜業等の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる端数調整は1か月について行うことができるが、1日単位では認められていないため、「1日及び1か月における」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
法41条、則23条、昭和22年9月13日発基17号、昭和63年3月14日基発150号
則23条に基づく、断続的な宿直又は日直勤務としての許可は、常態としてほとんど労働する必要のない勤務のみを認めるものであり、定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可することとされている。
また、原則として、通常の労働の継続は許可しないこととされている。したがって、始業又は終業時刻に密着した時間帯に、顧客からの電話の収受又は盗難・火災防止を行うものについては許可しないものとされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法32条、平成13年4月6日基発339号
労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らかであり、使用者が行う始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法としては、次のいずれかに方法によるものとされている。
(1)使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
(2)タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
36条、昭和23年4月5日基発535号
当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある時は、その労働組合と書面による協定をすることにより時間外又は休日の労働が可能となるが、当該事業場に2つの組合があり(例えば職員組合と工員組合がある場合)、1つの組合は当該事業場の3分の2の労働者で組織されている場合に、3分の2の労働者で組織されている組合との書面協定は当然他の3分の1の労働者で組織している組合の労働者にも効力が及ぶものとされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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