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トップページ > 過去問研究室(労働基準法)> 平成26年労基-第4問(労働基準法に定める賃金等) | |||||
■社会保険労務士試験過去問研究室 | |||||
労働基準法に定める賃金等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (A)労働基準法第24条第2項に従って賃金の支払期日が定められている場合、労働者が疾病等非常の場合の費用に充てるため、既に提供した労働に対する賃金を請求する場合であっても、使用者は、支払期日前には、当該賃金を支払う義務を負わない。 (B)労働基準法第26条の定める休業手当の趣旨は、使用者の故意又は過失により労働者が休業を余儀なくされた場合に、労働者の困窮をもたらした使用者の過失責任を問う、取引における一般原則たる過失責任主義にあるとするのが、最高裁判所の判例である。 (C)労働基準法第26条にいう「使用者の責に帰すべき事由」には、天災地変等の不可抗力によるものは含まれないが、例えば、親工場の経営難から下請工場が資材、資金の獲得ができず休業した場合は含まれる。 (D)事業場における一部の労働者のストライキの場合に、残りの労働者を就業させることが可能であるにもかかわらず、使用者がこれを拒否した場合、もともとはストライキに起因した休業であるため、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」による休業には該当しない。 (E)いわゆる出来高払制の保障給を定めた労働基準法第27条の趣旨は、月給等の定額給制度ではなく、出来高払制で使用している労働者について、その出来高や成果に応じた賃金の支払を保障しようとすることにある。
(A)誤り 法25条、則9条 使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならないことになっている。 なお、厚生労働省令で定める非常の場合は次のとおりである。 (1)労働者の収入によって生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、又は災害をうけた場合 (2)労働者又はその収入によって生計を維持する者が結婚し、又は死亡した場合 (3)労働者又はその収入によって生計を維持する者がやむを得ない事由により1週間以上にわたって帰郷する場合 よって、「使用者は、支払期日前には、当該賃金を支払う義務を負わない。」とした問題文は誤りとなる。 (B)誤り ノースウエスト航空事件(昭和62年7月17日) 労働基準法第26条にいう「使用者の責に帰すべき事由」とは、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、民法536条2項「債権者の責めに帰すべき事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当であるというのが、最高裁判所の判例である。 よって、問題文は誤りとなる。 (C)正解 法26条、昭和23年6月11日基収1998号 労働基準法第26条が「使用者の責に帰すべき事由」と明文で規定している以上、何らかのかたちで使用者の帰責事由に該当するものでなければならないことは文理上明らかであり、不可抗力はこれに含まれないものと解されている。しかしながら、親会社からのみ資材資金の供給をうけて事業を営む下請工場において、現下の経済情勢から親会社自体が経営難のため資材資金の獲得に支障を来し、下請工場が所要の供給を受けることができずしかも他よりの獲得もできないため休業した場合は、使用者の責めに帰すべき休業に該当するものとされている。 よって、問題文は正解となる。 (D)誤り 法26条、昭和24年12月2日基収3281号 労働組合が争議をしたことにより同一事業場の当該労働組合員以外の労働者の一部が労働を提供し得なくなった場合にその程度に応じて労働者を休業させることは差支えないが、その限度を超えて休業させた場合には、その部分については法26条の使用者の責めに帰すべき事由による休業に該当することとされている。よって、「該当しない。」とした問題文は誤りとなる。 なお、労働者側の争議行為に対し、使用者側のこれに対抗する争議行為としての作業所閉鎖は、これが社会通念上正当と判断されるかぎりその結果労働者が休業のやむなきに至った場合には法26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」とは認められない。 (E)誤り 法27条 労働基準法27条(出来高払制の保障給)の趣旨は、出来高払制その他の請負制で使用される労働者の賃金については、労働者が就業した以上は、たとえその出来高が少ない場合でも、労働した時間に応じて一定額の保障を行うべきことを使用者に義務づけたものである。 よって、「その出来高や成果に応じた賃金の支払を保障しようとすること」とした問題文は誤りとなる。 |
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