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■平成26年労基-第5問(労働基準法に定める労働時間等)

労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働基準法上の労働時間に関する規定の適用につき、労働時間は、同一事業主に属する異なった事業場において労働する場合のみでなく、事業主を異にする事業場において労働する場合も、通算される。

(B)労働者が使用者の実施する教育、研修に参加する時間を労働基準法上の労働時間とみるべきか否かについては、就業規則上の制裁等の不利益な取扱いの有無や、教育・研修の内容と業務との関連性が強く、それに参加しないことにより本人の業務に具体的な支障が生ずるか否か等の観点から、実質的にみて出席の強制があるか否かにより判断すべきものである。

(C)労働基準法第32条の2に定めるいわゆる1カ月単位の変形労働時間制については、いわゆる労使協定又は就業規則その他これに準ずるものにより同条記載の一定事項について定めをすることが要件とされており、同法第38条の4に定めるいわゆる労使委員会の委員の5分の4以上の多数による議決による決議によってこれを行うことは認められていない。

(D)労働基準法第32条にいう「労働」とは、一般的に、使用者の指揮監督のもとにあることをいい、必ずしも現実に精神又は肉体を活動させていることを要件とはしない。したがって、例えば、運転手が2名乗り込んで交替で運転に当たる場合において運転しない者が助手席で休息し、又は仮眠をとっているときであってもそれは「労働」であり、その状態にある時間は労働基準法上の労働時間である。

(E)労働基準法第34条に定める「休憩時間」とは、単に作業に従事しないいわゆる手待時間は含まず、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間をいう。



■解説

(A)正解
法38条、昭和23年5月14日基発769号
労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算することとされている。
「事業場を異にする場合」とは、労働者が1日のうち、甲事業場で労働した後に乙事業場で労働する場合、または、1週間のうち特定の曜日は甲事業場で労働し、その他の曜日に乙事業場で労働する場合のように、同一労働者が別個の事業場でそれぞれ労働することである。この場合、同一事業主に属する異なった事業場において労働する場合のみでなく、事業主を異にする事業場において労働する場合も含まれることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法32条、昭和26年1月20日基収2875号、平成11年3月31日基発168号
労働者が使用者の実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取扱いによる出席の強制がなく自由参加のものであれば、時間外労働にはならないとされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
法32条の2、法38条の4第5項
1箇月単位の変形労働時間制の実施にあたっては、労使協定又は就業規則その他これに準ずるものにより、変形期間における各日・各週の労働時間を具体的に定めることにより採用することができる。
また、1箇月単位の変形労働時間制は、労働基準法38条の4に定めるいわゆる労使委員会において、当該規定に係る労使協定に代えて委員の5分の4以上の多数による議決による決議(協定代替決議)により採用することもできる。なお、この協定代替決議については労働基準監督署長への届出は必要ない。
よって、「これを行うことは認められていない。」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法32条、昭和33年10月11日基収6286号
「労働」とは、一般的に、使用者の指揮監督のもとにあることをいい、必ずしも現実に精神又は肉体を活動させていることを要件とはせず、したがって、例えば、貨物取扱いの事業場において、貨物の積込係が、貨物自動車の到着を待機して身体を休めている場合とか、運転手が2名乗り込んで交替で運転に当る場合において運転しない者が助手席で休息し、又は仮眠しているときであってもそれは「労働」であり、その状態にある時間(手待時間)は労働時間となる。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法34条、昭和22年9月13日発基17号
休憩時間とは単に作業に従事しない手待時間を含まず労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取扱うこととされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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