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■平成27年労基-第2問(平均賃金の計算)

労働基準法第12条に定める平均賃金の計算に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)平均賃金の計算の基礎となる賃金の総額には、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金、通勤手当及び家族手当は含まれない。

(B)平均賃金の計算において、労働者が労働基準法第7条に基づく公民権の行使により休業した期間は、その日数及びその期間中の賃金を労働基準法第12条第1項及び第2項に規定する期間及び賃金の総額から除外する。

(C)労働災害により休業していた労働者がその災害による傷病が原因で死亡した場合、使用者が遺族補償を行うに当たり必要な平均賃金を算定すべき事由の発生日は、当該労働者が死亡した日である。

(D)賃金締切日が毎月月末と定められていた場合において、例えば7月31日に算定事由が発生したときは、なお直前の賃金締切日である6月30日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。

(E)賃金締切日が、基本給は毎月月末、時間外手当は毎月20日とされている事業場において、例えば6月25日に算定事由が発生したときは、平均賃金の起算に用いる直前の賃金締切日は、基本給、時間外手当ともに基本給の直前の締切日である5月31日とし、この日から遡った3か月が平均賃金の算定期間となる。



■解説

(A)誤り
法12条4項、昭和22年12月26日基発573号
平均賃金の計算の基礎となる賃金の総額には、通勤手当及び家族手当は含まれるが、「臨時に支払われた賃金」、「3か月を超える期間ごとに支払われる賃金」、「通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの」は含まれない。これらの賃金を算入することとすれば、算定事由発生の時期によって、平均賃金に著しい高低を生ずるおそれがある等のためである。
よって、問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法12条3項、
平均賃金の算定期間のうちに次の期間がある場合には、算定期間からはこれらの期間中の日数を、賃金の総額からはこれらの期間中の賃金を、それぞれ控除して、残余の期間の日数と賃金額で平均賃金を算定することとされているが、「労働基準法第7条に基づく公民権の行使により休業した期間」は含まれていない。
(1)業務上の傷病による休業期間
(2)産前産後の休業期間
(3)使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
(4)育児休業及び介護休業期間
(5)試みの使用期間
よって、問題文は誤りとなる。

(C)誤り
則48条
災害補償を行う場合には、死傷の原因たる事故発生の日又は診断によって疾病の発生が確定した日を、平均賃金を算定すべき事由の発生した日とすることとされている。
よって、「当該労働者が死亡した日」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法12条2項、昭和24年7月13日基収2044号
平均賃金はこれを算定すべき事由の発生した日以前3か月の賃金総額と総日数によって算定するのが原則であるが、賃金締切日がある場合には、算定事由の発生した日の直前の賃金締切日から起算することとされている。
文言上は算定すべき事由の発生した日も含まれているが、通常当該日には労務の提供が完全になされず賃金も全額支払われない場合が多く、これを3か月間に入れることにより、かえって平均賃金が実態に即さないこととなるので、「事由の発生した日」は含まれないものと解されている。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法12条2項、昭和26年12月27日基収5926号
賃金ごとに賃金締切日が異なる場合の直前の賃金締切日は、それぞれ各賃金ごとの賃金締切日とされている。
これを問題文の事例に当てはめると基本給についての直前の賃金締切日は「5月31日」、時間外手当の直前の賃金締切日は「6月20日」となる。
よって、問題文は誤りとなる。

  

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