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トップページ過去問研究室(労働基準法) 平成27年労基-第7問(労働基準法に定める就業規則等)
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■平成27年労基-第7問(労働基準法に定める就業規則等)

労働基準法に定める就業規則等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働基準法上就業規則の作成義務のない、常時10人未満の労働者を使用する使用者が作成した就業規則についても、労働基準法にいう「就業規則」として、同法第91条(制裁規定の制限)、第92条(法令及び労働協約との関係)及び第93条(労働契約との関係)の規定は適用があると解されている。

(B)労働基準法第89条が使用者に就業規則への記載を義務づけている事項以外の事項を、使用者が就業規則に自由に記載することは、労働者にその同意なく労働契約上の義務を課すことにつながりかねないため、使用者が任意に就業規則に記載した事項については、就業規則の労働契約に対するいわゆる最低基準効は認められない。

(C)労働基準法第90条第1項が、就業規則の作成又は変更について、当該事業場の過半数労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことを使用者に義務づけた趣旨は、使用者が一方的に作成・変更しうる就業規則に労働者の団体的意思を反映させ、就業規則を合理的なものにしようとすることにある。

(D)労働基準法第90条第2項は、就業規則の行政官庁への届出の際に、当該事業場の過半数労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を記した書面を添付することを使用者に義務づけているが、過半数労働組合もしくは過半数代表者が故意に意見を表明しない場合又は意見書に署名もしくは記名押印をしない場合は、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱うものとされている。

(E)労働基準法第92条第1項は、就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならないと規定しているが、当該事業場の労働者の一部しか労働組合に加入していない結果、労働協約の適用がその事業場の一部の労働者に限られているときには、就業規則の内容が労働協約の内容に反する場合においても、当該労働協約が適用されない労働者については就業規則の規定がそのまま適用されることになる。



■解説

(A)正解
法89条、平成20年1月23日基発第0123004号
常時10人未満の労働者を使用する使用者は、就業規則作成の義務はないが、労基法89条の趣旨にかんがみ、就業規則を成文化することは望ましいことであり、当該使用者において就業規則を作成したときは、それも労基法89条にいう「就業規則」として、法91条(制裁規定の制限)、法92条(法令及び労働協約との関係)及び法93条(労働契約との関係)の規定は適用があると解すべきとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法89条、平成20年1月23日基発第0123004号
就業規則にはいかなる場合であっても必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項、定めをする場合においては、必ず記載しなければならないとするいわゆる相対的必要記載事項、このほか、使用者において任意に記載し得る任意記載事項がある。
任意記載事項であっても、合理的な労働条件が定められており、労働者に周知されている場合については、就業規則の労働契約に対するいわゆる最低基準効は認められる。
よって、問題文は誤りとなる。

(C)正解
法90条
就業規則の作成・変更に当り労働者の団体的意見(当該事業場の過半数労働組合、それがない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見)を聴くべきことを定めたのは、就業規則の成文化の強制及び内容の強制、労働者への周知義務と相まって、就業規則を合理的なものとするものである。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法90条、昭和23年5月11日基発735号、昭和23年10月30日基発1575号
就業規則の作成、届出及び受理については、労働組合又は労働者の過半数を代表する者の意見書に労働者代表の署名又は記名押印がないことを理由として受理しない向もあるようであるが、労働組合が故意に意見を表明しない場合又は意見書に署名又は記名押印しない場合でも、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取扱うこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法92条
当該事業場の従業員の一部しか労働組合に加入していない結果、労働協約の適用がその事業場の一部に限られている場合には、その適用を受ける労働者(労働組合法17条、18条による場合を含む。)に関する限りにおいて労働協約と就業規則との関係が問題となるが、就業規則の内容が労働協約の内容に反する場合においても、当該労働協約が適用されない労働者については就業規則の規定がそのまま適用されることになる。
よって、問題文は正解となる。

  

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