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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成28年労基-第5問(労働基準法に定める就業規則等)

労働基準法に定める就業規則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)労働基準法第89条所定の事項を個々の労働契約書に網羅して記載すれば、使用者は、別途に就業規則を作成していなくても、本条に規定する就業規則の作成義務を果たしたものとなる。

(B)労働基準法第41条第3号に定める「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」については、労働基準法の労働時間、休憩及び休日に関する規定が適用されないから、就業規則に始業及び終業の時刻を定める必要はない。

(C)退職手当制度を設ける場合には、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法、退職手当の支払の時期に関する事項について就業規則に規定しておかなければならないが、退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合に、これらを就業規則に記載しておく必要はない。

(D)服務規律違反に対する制裁として一定期間出勤を停止する場合、当該出勤停止期間中の賃金を支給しないことは、減給制限に関する労働基準法第91条違反となる。

(E)行政官庁が、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命じても、それだけで就業規則が変更されたこととはならず、使用者によって所要の変更手続がとられてはじめて就業規則が変更されたこととなる。



■解説

(A)誤り
法89条
法第89条所定の事項を個々の労働契約書に網羅して記載してあっても、使用者は本条に規定する就業規則の作成義務を免れないこととされている。
よって、「就業規則の作成義務を果たしたものとなる。」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法89条、昭和23年12月25日基収4281号
法41条第3号の規定により行政官庁の許可を受けた監視又は断続的労働に従事する者については、第4章、第6章及び第6章の2の労働時間、休憩及び休日に関する規定が適用されないが、法41条第3号の許可を受けた者についても法89条は適用されるのであるから、就業規則には始業及び終業の時刻を定めなければならない。
よって、「就業規則に始業及び終業の時刻を定める必要はない。」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法89条、昭和63年1月1日基発1号、平成2年3月31日基発168号
退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合には、これは退職手当の決定及び計算の方法に関する事項に該当するので、就業規則に記載する必要がある。
よって、「退職手当について不支給事由又は減額事由を設ける場合に、これらを就業規則に記載しておく必要はない。」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法91条、昭和23年7月3日基収2177号
就業規則に出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある場合において、労働者がその出勤停止の制裁を受けるに至った場合、出勤停止期間中の賃金を受けられないことは、制裁としての出勤停止の当然の結果であって、通常の額以下の賃金を支給することを定める減給制裁に関する法91条の規定には関係はない。ただし、出勤停止の期間については公序良俗の見地より当該事犯の情状の程度等により制限のあるべきことは当然である。
よって、「減給制限に関する労働基準法第91条違反」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法92条2項
行政官庁の変更命令は、就業規則を変更すべき義務を使用者に課すにとどまるものであるから、変更命令が出されても、それだけで就業規則が変更されたこととなるものではなく、使用者によって所要の変更手続きがとられてはじめて変更されたことになる。
よって、問題文は正解となる。

  

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