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■平成28年労基-第7問(年次有給休暇)

労働基準法第39条に定める年次有給休暇に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)休職発令により従来配属されていた所属を離れ、以後は単に会社に籍があるにとどまり、会社に対して全く労働の義務が免除されることとなる場合において、休職発令された者が年次有給休暇を請求したときは、労働義務がない日について年次有給休暇を請求する余地がないことから、これらの休職者は年次有給休暇請求権の行使ができないと解されている。

(B)全労働日と出勤率を計算するに当たり、法定休日を上回る所定の休日に労働させた場合におけるその日は、全労働日に含まれる。

(C)年次有給休暇を取得した日は、出勤率の計算においては、出勤したものとして取り扱う。

(D)育児介護休業法に基づく育児休業申出後には、育児休業期間中の日について年次有給休暇を請求する余地はないが、育児休業申出前に育児休業期間中の日について時季指定や労使協定に基づく計画付与が行われた場合には、当該日には年次有給休暇を取得したものと解され、当該日に係る賃金支払日については、使用者に所要の賃金支払いの義務が生じるものとされている。

(E)所定労働時間が年の途中で1日8時間から4時間に変更になった。この時、変更前に年次有給休暇の残余が10日と5時間の労働者であった場合、当該労働者が変更後に取得できる年次有給休暇について、日数の10日は変更にならないが、時間数の方は5時間から3時間に変更される。



■解説

(A)正解
法39条5項、昭和24年12月28日基発1456号、昭和31年2月13日基収489号
休職発令により従来配属されていた所属を離れ、以後は単に会社に籍があるにとどまり、会社に対して全く労働の義務が免除されることとなる場合において、休職発令された者が年次有給休暇を請求した時は、労働義務がない日について年次有給休暇を請求する余地がないことから、これらの休職者は、年次有給休暇請求権の行使ができないと解されている。
よって、問題文は正解となる。
なお、負傷又は疾病等により長期療養中の者が休業期間中年次有給休暇を請求したときは、年次有給休暇を労働者が病気欠勤等に充用することが許されることから、このような労働者に対して請求があれば年次有給休暇を与えなくてはならないと解されている。

(B)誤り
法39条1項、昭和33年2月13日基発90号、平成25年7月10日基発0710第3号
年次有給休暇の請求権の発生について、法第39条が全労働日の8割出勤を条件としているのは、労働者の勤怠の状況を勘案して、特に出勤率の低い者を除外する立法趣旨であることから、全労働日の取扱いについては、次のとおりとする。
1.年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の日数は就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいい、各労働者の職種が異なること等により異なることもあり得る。したがって、所定の休日に労働させた場合には、その日は、全労働日に含まれないものである。
2.労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、3に該当する場合を除き、出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものとする。例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令を受けて会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日のように、労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日が考えられる。
3.労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日であっても、次に掲げる日のように、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でないものは、全労働日に含まれないものとする。
(1)不可抗力による休業日
(2)使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
(3)正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日
よって、「全労働日に含まれる。」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
法39条1項、昭和22年9月13日発基17号、平成6年3月31日基発181号
年次有給休暇としての休業日数は出勤率の算定する場合、出勤したものとして取り扱われる。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法39条、平成3年12月20日基発第712号
年次有給休暇は、労働義務のある日についてのみ請求できるものであるから、育児休業申出後には、育児休業期間中の日について年次有給休暇を請求する余地はないこととされている。また、育児休業申出前に育児休業期間中の日について時季指定や労使協力に基づく計画付与が行われた場合には、当該日には年次有給休暇を取得したものと解され、当該日に係る賃金支払日については、使用者に所要の賃金支払の義務が生じるものであることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法39条、平成21年10月5日基発1005第1号
年の途中で所定労働時間数の変更があった場合、時間単位年休として取得できる範囲のうち、1日に満たないため時間単位で保有している部分については、当該労働者の1日の所定労働時間の変動に比例して時間数が変更されることとされている。
例えば、所定労働時間が8時間から4時間に変更され、年休が10日と5時間残っている場合は、10日と5/8日残っていると考え、以下のとおりとなる。
・変更前 10日(1日当たりの時間数は8時間)と5時間
・変更後 10日(1日当たりの時間数は4時間)と3時間(比例して変更すると2.5時間(4時間×5/8日)となるが、1時間未満の端数は切り上げる。)
よって、問題文は正解となる。

  

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