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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成13年労災-第3問(業務災害の保険給付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成13年労災-第3問(業務災害の保険給付)

業務災害の保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)傷病補償年金は、傷病が療養開始後1年6か月を経過しても治らず、かつ、障害の状態が所定の傷病等級に該当する場合に、所轄労働基準監督署長の職権によって支給決定されるのが原則であるが、被災労働者が引き続き休業補償給付の受給を望む旨を事前に申し出たときは、休業補償給付から傷病補償年金への切替えは行われない。

(B)傷病補償年金は、傷病が療養開始後1年6か月を経過しても治らず、かつ、障害の状態が所定の傷病等級に該当する場合に被災労働者の請求に基づき支給されるのが原則であるが、療養開始後3年を経過しても傷病が治らず、かつ、障害の状態が所定の傷病等級に該当する場合には、所轄労働基準監督署長の職権によって休業補償給付から傷病補償年金へ切り替えられる。

(C)傷病補償年金の受給者にあっては、その傷病が治っていないため、その障害の状態は固定していないことから、所轄労働基準監督署長は、6か月ごとに障害の程度を認定し、傷病等級に変更が生じたときは、次の支給月以降に支給すべき傷病補償年金の変更を決定する。

(D)業務上の傷病が治り、障害等級第8級以下の障害が残って障害補償一時金を受給した者について、傷病が再発し、治ったが、同一の部位の障害の程度が障害等級第7級以上に該当することとなった場合には、障害補償年金が支給されることとなるが、その額は、原則として、既に受給した障害補償一時金の額の25分の1の額を差し引いた額による。

(E)業務上の傷病が治り、障害等級第8級以下の障害が残って障害補償一時金を受給した者について、傷病が再発し、治ったが、同一の部位の障害の程度が障害等級第7級以上に該当することとなった場合には、障害補償年金が支給されることとなるが、その額は、既に受給した障害補償一時金の額に達するまでの間は、全部又は一部(いずれか受給者の選択による。)の支給が停止される。



■解説

(A)誤り
法12条の8第3項、則18条の2
傷病が療養開始後1年6か月を経過しても治らず、かつ、障害の状態が所定の傷病等級に該当する場合又はその後に所定の傷病等級に該当することになった場合は、所轄労働基準監督署長は、当該労働者について傷病補償年金の支給の決定をしなければならないとされている。
よって障害補償年金は所轄労働基準監督署長の職権で支給決定されるもので、問題文のように、被災労働者が申出ることにより休業補償給付を傷病補償年金に切り替えないというような規定はない。

(B)誤り
法12条の8第3項、則18条の2
傷病補償年金は被災労働者の請求に基づき支給決定されるのではなく、所轄労働基準監督署長の職権で支給決定される。
また、傷病が療養開始後1年6か月を経過しても治らず、かつ、障害の状態が所定の傷病等級に該当する場合又はその後に所定の傷病等級に該当することになった場合は、3年を経過する前であっても傷病補償年金は支給される。

(C)誤り
法18条の2、則18条の3、昭和52年3月30日基発第192号・発労徴第21号
傷病補償年金の受給権者となった者は、他の年金たる保険給付の受給権者と同様に定期報告書を提出しなければならない。(則21条1項7号)
また、「負傷又は疾病が治った場合」、「負傷又は疾病による障害の程度に変更があった場合」は遅滞なく、文書で、その旨を所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。 (則21条1項7号)
そして、所轄労働基準監督署長は、傷病補償年金の受給権者について、定期報告書等により、又は傷病補償年金の受給権者に義務づけられた障害の状態の変更に関する届出等により、その受給権者の障害の程度が他の傷病等級に該当するに至っていると認められる場合又は傷病等級に該当しなくなったと認められる場合には、傷病等級の変更による傷病補償年金の変更決定、休業補償給付への切替え又は治ゆの認定を行うこととされている。
よって、問題文のように「6か月ごとに障害の程度を認定している」わけではない。

(D)正解
法15条、則14条5項、昭和41年1月31日基発第73号
再発した場合も、既存障害と同一部位について加重した場合の処理と同じ扱いとなる。

(参考)
既に身体障害(業務災害に限られない)のあった者が、負傷又は疾病(業務災害に限る)により同一の部位について障害の程度を加重した場合の取り扱いは次のようになっている。

・既存障害、新たな障害がともに年金、一時金の場合は、「加重後の年金(一時金)額−加重前の年金(一時金)額」で計算する。

・既存障害が一時金で、新たな障害が年金の場合は、「加重後の年金額−加重前の一時金の額の25分の1」で計算する。

(E)誤り
法15条、則14条5項、昭和41年1月31日基発第73号
再発した場合も、既存障害と同一部位について加重した場合の処理と同じ扱いとなる。
よって、問題文のように「既に受給した障害補償一時金の額に達するまでの間は、全部又は一部(いずれか受給者の選択による。)の支給が停止される。」という規定はない。

  

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