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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成13年労災-第4問(遺族補償給付)
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■平成13年労災-第4問(遺族補償給付)

遺族補償給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)遺族補償給付を受けることができる遺族は、労働者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下この問において同じ。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹(妻以外の者にあっては、一定の要件に該当する者に限る。)であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものに限られる。

(B)遺族補償年金を受ける権利を有する者の所在が6か月以上明らかでない場合には、当該遺族補償年金を受けることができる遺族であれば、その順位にかかわらず、当該遺族のいずれかの申請により、その所在が明らかでない間、その支給が停止される。

(C)遺族補償年金を受けることができる遺族の要件としての「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた」ことが認められるためには、単に労働者と生計を一にしていただけでは足りず、労働者の収入によって日常の消費生活の大部分を営んでいたことが必要である。

(D)遺族補償一時金を受けるべき遺族の順位は,次の1、2、3の順序により、2及び3に掲げる者のうちにあっては、それぞれ2及び3に掲げる順序による。
1.配偶者
2.労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母
3.2に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹

(E)遺族補償給付を受けることができる配偶者には「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」も含まれるが、これは、あくまで婚姻の届出が法律上可能な状態にあった者に限られるのであって、いわゆる重婚的内縁関係にあった者は含まれない。



■解説

(A)誤り
法16条、法16条の2、法16条の7第1項
遺族補償給付には遺族補償年金と遺族補償一時金がある。
遺族補償年金を受けることができる遺族の範囲は問題文のとおりであるが、遺族補償一時金を受けることができる遺族の範囲は、1.配偶者、2.労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母、3.前号2に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹となっており、生計維持関係になかった遺族も含まれる。(支給の優先順位は記載順番)
よって、問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法16条の5第1項
遺族補償年金を受ける権利を有する者の所在が1年以上明らかでない場合には、遺族補償年金は、同順位者があるときは同順位者の、同順位者がないときは次順位者の申請によって、その所在が明らかでない間、その支給が停止されることになる。
なお、この場合において、同順位者がないときは、その間、次順位者を先順位者として遺族補償年金が支給されることになっている。

(C)誤り
法16条の2第1項、昭和41年1月31日基発73号
「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた」ことについては、次のように解釈されている。
1.死亡の当時には、負傷又は発病後死亡までに相当期間が経過していても、その労働者が業務災害を被らなかったならば、その死亡の当時においても、その収入で生計を維持していたであろう場合を含むが、死亡の当時労働者を遺棄しているような場合は、含まれない。
2.労働者の収入には、賃金収入はもちろん、休業補償給付その他各種保険の現金給付その他一切の収入が含まれる。
3.もっぱら又は主として労働者の収入によって生計を維持されていることを要せず、労働者の収入によって生計の一部を維持されていれば足りる。したがって、いわゆる共稼ぎもこれに含まれる。
よって、問題文は「労働者の収入によって日常の消費生活の大部分を営んでいたことが必要」としているので誤りである。

(D)正解
法16条の7
遺族補償年金を受けることのできる遺族については、年齢要件や障害要件があるが、遺族補償一時金については、そのような要件はなく、また、生計維持関係がない遺族であっても受給することが可能である。

(E)誤り
法16条の2第1項、平成10年10月30日基発627号
配偶者には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者も含まれるので前半部分は正しい。
しかし、重婚的内縁関係にあった者については、届出による婚姻関係がその実態を失って形骸化し、かつ、その状態が固定化して近い将来解消される見込みがなかった場合に限って、事実上の婚姻関係にある者を配偶者として認めるものとされている。そして、その場合は、重婚的内縁関係であっても、届出による婚姻関係にある者でなく、事実上の婚姻関係にある者に遺族補償給付が支給されることになる。
よって、「重婚的内縁関係にあった者」は含まないとした問題文は誤りである。

  

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