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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成14年労災-第1問(保険給付の事由等)

保険給付の事由等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下において「労災保険法」とは「労働者災害補償保険法」のことであり、「労災保険」とは「労働者災害補償保険」のことである。

(A)労災保険法による保険給付としては、業務災害又は通勤災害が発生した場合の保険給付のほか、業務上の事由によると通勤によるとを問わず、災害の発生を予防するための保険給付も行われる。

(B)特別加入者に関しては、二次健康診断等給付は、行われない。

(C)通勤が同時に業務の性質を有する場合においても、住居と就業の場所との間の往復等の移動を合理的な経路及び方法により行うものである限り、その往復行為による災害は、通勤災害として扱われる。(一部改正)

(D)業務に起因することが明らかな疾病であっても、労働基準法施行規則別表第1の2において具体的に疾病の原因及び種類が列挙されている 疾病のいずれかに該当しないものは、保険給付の対象とはならない。

(E)労災保険のすべての保険給付は、その事由が生じた場合に、給付を受けるべき労働者、特別加入者若しくはこれらの者の遺族又は葬祭を行う者からの請求に基づいて行われる。



■解説

(A)誤り
法7条1項、法26条
労災保険法の保険給付は、次のとおりである。
1.業務災害に関する保険給付
2.通勤災害に関する保険給付
3.二次健康診断等給付
上記のうち「二次健康診断等給付」は、業務上の事由による脳血管疾患及び心臓疾患の発生を予防するための保険給付であるが、通勤災害による災害の発生を予防するための保険給付は行われていない。
よって、問題文は誤りとなる。

(B)正解
法26条1項、平成13年3月30日基発233号
労災保険の特別加入者については、労働安全衛生法の適用がなく、定期健康診断等の適用対象となっていないため、二次健康診断等給付の対象になっていない。

(C)誤り
法7条2項
通勤の定義は、労働者が、就業に関し、次の移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くとされている。
1. 住居と就業の場所との間の往復
2. 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動(二重就職者の事業場間の移動)
3. 住居と就業の場所との往復に先行し、又は後続する住居間の移動(単身赴任者の赴任先、帰省先住居間の移動)
よって、通勤が同時に業務の性質を有する場合には、その往復行為による災害は「業務災害」として扱われる。

(D)誤り
法7条1項1号、労基則35条、労基則別表第1の2、昭和53年3月30日基発186号
業務上の疾病は、労基則別表第1の2に例示として列挙されているが、それ以外の疾病であっても「厚生労働大臣の指定する疾病」、「その他業務に起因することの明らかな疾病」については保険給付の対象となる。

(E)誤り
法12条の8第2項・3項、則18条の2第1項など
傷病(補償)年金以外の保険給付は、災害補償の事由が生じた場合に、補償を受けるべき労働者等に対し、その請求に基づいて行うことになっているが、傷病(補償)年金については、労働者からの請求でなく、所轄労働基準監督署長の職権により支給決定されることになっている。
よって、「すべての保険給付」とした問題文は誤りである。

  

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