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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成14年労災-第2問(保険給付)
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■平成14年労災-第2問(保険給付)

保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)療養の給付の範囲は、1診察、2薬剤又は治療材料の支給、3処置、手術その他の治療、4居宅における療養上の管理及びその療養に伴う 世話その他の看護、5病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護、6移送であり、具体的に必要とされるものの範囲は、当該傷病に係るこれらの病院若しくは診療所又は薬局若しくは訪問看護事業者の判断に委ねられる。

(B)療養補償給付は、療養の給付を原則としており、この療養の給付は、労働福祉事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者において行うほか、都道府県労働局長の指定がなくても、厚生労働大臣が健康保険法に基づき指定する病院若しくは診療所又は薬局若しくは訪問看護事業者であれば行うことができる。

(C)労災保険法第42条は保険給付を受ける権利の時効について定めているが、保険給付のうち傷病補償年金及び傷病年金は、同条の規定の対象になっていない。

(D)通勤による疾病の範囲は、通勤による負傷に起因する疾病のほか、業務上の疾病の範囲に準じて厚生労働大臣告示において具体的に疾病の種類が列挙されている。

(E)労働者が、直接に住居と出張先との間の往復を合理的な経路及び方法により行うことは、通勤に準ずるものと解され、これによる負傷、疾病、障害又は死亡は、通勤災害とみなされる。(一部改正)



■解説

(A)誤り
法13条2項
療養の給付の範囲は、問題文の1から6のうち、政府が認めるものに限られている。
よって、具体的に必要とされるものの範囲を「当該傷病に係るこれらの病院若しくは診療所又は薬局若しくは訪問看護事業者の判断に委ねられる」とした問題文は誤りである。

(B)誤り
則11条1項、則12条1項
療養の給付は労災指定病院等で行われることになっている。
よって、健康保険法に基づく保険医療機関等又は指定訪問看護事業者であっても、労災保険法の療養の給付を行うためには、都道府県労働局長の指定を受けなければならない。

(C)正解
法42条、昭和52年3月30日発労徴第21号・基発第192号
傷病(補償)年金については、被災者の請求によらず政府が職権で給付を決定するものであり、基本権(保険給付を受ける権利)の裁定について時効の問題を生ずることは考えられない。
しかし、支分権(各支払期ごとに発生する支払請求権)については、会計法第30条の規定により5年で時効消滅する。

(D)誤り
法22条1項、則18条の4
通勤による疾病の範囲は、通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病とされており、業務上の疾病のように具体的な疾病の種類が列挙されているわけではない。

(E)誤り
法7条2項、昭和34年7月15日基収2980号
出張業務の遂行については、その用務の時間的、場所的な事情により、事業所に寄らないで自宅を出て用務を果たし、また自宅へ帰ることが是認されている場合には、自宅を出てから自宅へ帰るまでが出張途上にあるものと考えられる。
そして、出張中は包括的に事業主の支配下にあり、積極的な私用・私的行為・恣意行為等いわゆる業務起因性の反証事由で発生したと認められる場合を除き、業務遂行性が認められる。
よって問題文の場合は業務災害とみなされる。

  

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