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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成15年労災-第3問(療養補償給付又は療養給付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成15年労災-第3問(療養補償給付又は療養給付)

療養補償給付又は療養給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)療養の給付の範囲については、労災保険法第13条第2項各号に定められているが、いずれも「政府が必要と認めるものに限る」とされており、その具体的な範囲については、厚生労働大臣が告示で定めている。

(B)療養の費用が支給されるのは、療養の給付をすることが困難な場合のほか、療養の給付を受けないことについて労働者に緊急やむを得ない事情がある場合に限られる。

(C)労災保険におけるリハビリテーション医療とは、業務上の事由又は通勤による傷病により療養中の労働者に対して当該傷病に係る本来の治療に加え、理学療法、作業療法等を個々の症例に応じ総合的に実施して、労働能力の回復を図り職場復帰への医学的指針を与えるまでの一連の行為をいい、療養補償給付又は療養給付の一環として行うものである。

(D)療養補償給付又は療養給付を受けようとする者は、療養の給付又は療養の費用の支給のいずれについても、所定の請求書を当該療養に係る病院若しくは診療所、薬局又は訪問看護事業者を経由して所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

(E)二次健康診断等給付は、労災保険法第29条第1項の社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長が療養の給付を行う病院若しくは診療所として指定した病院若しくは診療所において行う。(一部改正)


■解説

(A)誤り
法13条2項
療養の給付の範囲は、次の範囲のうちで、政府が必要と認めるものに限るとされている。
1.診察
2.薬剤又は治療材料の支給
3.処置、手術その他の治療
4.居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
5.病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
6.移送
しかし、具体的な範囲について厚生労働大臣の告示で定められていない。

(B)誤り
法13条3項、則11条の2、昭和41年1月31日基発73号
療養の費用を支給する場合は、療養の給付をすることが困難な場合のほか、療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合とされている。
よって、「療養の給付を受けないことについて労働者に緊急やむを得ない事情がある場合」とした問題文は誤りである。
なお、「療養の給付を行うことが困難な場合」とは、当該地区に指定病院等がない場合とか、特殊な医療技術又は診療施設を必要とする傷病の場合に最寄りの指定病院等にこれらの技術又は施設の整備がなされていない場合等政府側の事情において療養の給付を行うことが困難な場合をいう。
これに対し、「療養の給付を受けないことにつき相当の理由がある場合」とは、労働者側に療養の費用によることを便宜とする事情がある場合、すなわち、当該傷病が指定病院等以外の病院、診療所等で緊急な療養を必要とする場合とか、最寄りの病院、診療所等が指定病院等でない等の事情がある場合をいう。

(C)正解
法13条2項、平成6年5月12日基発279号
問題文の内容は正しい。
なお、労災保険におけるリハビリテーション医療の対象者は、業務上の事由又は通勤による傷病により療養中の者であって、リハビリテーション医療を行うことによって、労働能力の回復及び障害の軽減が見込まれる者とされている。

(D)誤り
法13条3項、則12条の2第1項
療養(補償)給付たる療養の費用の支給を受けようとする者は、必要事項を記載した請求書を、直接、所轄労働基準監督署長に提出しなければならないとされている。
よって、病院等を経由して所轄労働基準監督署長に請求書を提出するとした問題文は誤りである。

(E)誤り
則11条の3
二次健康診断等給付は、社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所(健診給付病院等)において行うものとされている。
問題文のように、「都道府県労働局長が療養の給付を行う病院等として指定した病院等」で行うわけでなく、「二次健康診断等給付を行う病院等と指定した病院等」で行うので注意すること。

  

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