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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成15年労災-第4問(保険給付)
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■平成15年労災-第4問(保険給付)

保険給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働者が業務上の傷病による療養のため労働することができないために賃金を受けない場合には、その第1日目から第3日目までは使用者が労働基準法第76条の規定に基づく休業補償を行い、第4日目からは休業補償給付が支給される。

(B)労働者が通勤による傷病に係る療養のため労働することができないために賃金を受けない場合には、使用者による休業補償はないが、給付費用の一部負担金に相当する額を減額した休業給付が第1日目から支給される。

(C)労働者が業務上の事由又は通勤による傷病に係る療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日に係る休業補償給付又は休業給付の額は、給付基礎日額(労災保険法第8条の2第2項第2号に定める額(以下この問において「最高限度額」という。)を給付基礎日額とすることとされている場合にあっては、同号の適用がないものとした場合における給付基礎日額)から当該労働に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあっては、最高限度額に相当する額)の100分の60に相当する額である。

(D)業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者が、療養開始後1年6か月を経過した日以後において当該傷病が治っておらず、かつ、当該傷病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当し、又は該当することとなったときは、その状態が継続している間、当該労働者に対して傷病補償年金又は傷病年金が支給され、これらの年金を受ける者には休業補償給付又は休業給付は支給されない。

(E)傷病補償年金又は傷病年金は、政府の職権によって支給が決定されるものであるから、これを受ける権利に関して労災保険法では時効について定めていないが、支給が決定された年金の支払期ごとに生ずる請求権については、会計法上の時効の規定が適用される。



■解説

(A)正解
法14条1項、労基法76条、労基法84条
休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給される。
よって、待期期間である当初の3日間については、労働基準法の規定による休業補償をしなければならない。
なお、健康保険法の傷病手当金の待期期間は継続した3日の待期が必要であるが、休業(補償)給付の場合は、通算して3日あれば待期は完成する。

(B)誤り
法22条の2、労基法76条
休業給付は、労働者が通勤による負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給される。(休業補償給付と同様)
しかし、通勤災害については、労働基準法上使用者に補償義務が課せられていないので、待期期間の3日間について休業補償は行われない。
なお、療養給付を受ける労働者に支給する休業給付であって最初に支給すべき事由の生じた日に係るものの額は、一部負担金相当額を控除した額となる。

(C)正解
法14条1項但書、法22条の2第1項
所定労働時間の一部について労働した場合の休業(補償)給付の支給額は、給付基礎日額(最高限度額を適用しない)から労働に対して支払われる賃金の額を控除した額(最高限度額を超える場合は、最高限度額に相当する額)の100分の60に相当する額である。

(D)正解
法12条の8第3項、法18条2項、法23条
傷病(補償)年金は、負傷又は疾病に係る療養の開始後1年6箇月を経過した日において、その負傷又は疾病が治っておらず、かつ、障害の程度が傷病等級に該当しているとき、又はその後に該当することになったときに支給される。(所轄労働基準監督署長が職権で支給決定する)
そして、傷病(補償)年金を受給している者に対しては休業(補償)給付は行われないことになっている。

(E)正解
法42条、昭和52年3月30日発労徴21号・基発192号
傷病(補償)年金は、被災者の請求によらず政府が職権で給付を決定するものであり、基本権の裁定について時効の問題を生ずることは考えられないが、支分権については、会計法第30条の規定により5年で時効消滅することになる。

  

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