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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成15年労災-第7問(遺族補償給付又は遺族給付)
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■平成15年労災-第7問(遺族補償給付又は遺族給付)

遺族補償給付又は遺族給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)遺族補償給付又は遺族給付を受ける権利を有する者が2人以上あるときは、遺族補償給付又は遺族給付の額は、労災保険法別表第1に規定する額をその人数で除して得た額となる。

(B)婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあった者は、婚姻の届出をした配偶者がいない場合に限り、配偶者として遺族補償給付又は遺族給付を受けることができる。

(C)遺族補償年金又は遺族年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合において、他に当該遺族補償年金又は遺族年金を受けることができる遺族がなく、かつ、当該労働者の死亡に関し支給された遺族補償年金又は遺族年金の合計額が、当該権利が消滅した日において労働者の死亡の当時遺族補償年金又は遺族年金を受けることができる遺族がない場合に該当することとなるものとしたときに支給されることとなる遺族補償一時金又は遺族一時金の額に厚生労働大臣が定める率を乗じて得た額に満たないときは、その差額に相当する額の遺族補償一時金又は遺族一時金が支給される。

(D)保険給付を受ける権利は、労災保険法第12条の5第2項の規定により、他者に譲り渡すことができないが、遺族補償給付又は遺族給付を受ける権利に関しては、例外的に、先順位の遺族がその権利を次順位の遺族に譲り渡すことが可能である。

(E)遺族補償年金前払一時金又は遺族年金前払一時金の支給を受ける権利は、5年を経過したときは、時効によって消滅する。



■解説

(A)誤り
法16条、法16条の3第2項、法16条の8、法22条の4第2・第3項
遺族(補償)給付は、遺族(補償)年金又は遺族(補償)一時金とされている。(法16条、法22条の4第2項)
遺族(補償)年金を受ける権利を有する者が2人以上あるときは、遺族(補償)年金の額は、労災保険法別表第1に規定する額をその人数で除して得た額とすることになっている。
しかし、遺族(補償)一時金を受ける権利を有する者が2人以上あるときは、遺族(補償)年金の額は、労災保険法別表第2に規定する額をその人数で除して得た額とすることになっている。
よって、「労災保険法別表第1に規定する額をその人数で除して得た額」とした問題文は誤りである。
なお、問題文が「遺族補償年金又は遺族年金」となっていれば正解となるので、おそらく正解はこの問題だと思われる。

(B)誤り
法16条の2第1項、法22条の4第3項、平成10年10月30日基発627号
重婚的内縁関係にあった者については、届出による婚姻関係がその実態を失って形骸化し、かつ、その状態が固定化して近い将来解消される見込みがなかった場合に限って、事実上の婚姻関係にある者を配偶者として認めるものとされている。
そして、その場合は、重婚的内縁関係であっても、届出による婚姻関係にある者でなく、事実上の婚姻関係にある者に遺族補償給付が支給されることになるとされている。
よって、重婚的内縁関係にある者について遺族(補償)給付を支給される場合に、必ずしも婚姻の届出をした配偶者が優先するわけではないので問題文は誤りである。

(C)誤り
法16条の6第2項、法22条の4第3項
遺族(補償)年金の受給権が消滅した場合において、年金受給権が消滅した日の属する年度(4月から7月の場合はその前年度)の7月以前に支給された遺族(補償)年金の額に厚生労働大臣が定める率を乗じた額が、労働者の死亡の当時遺族補償年金を受けることができる遺族がないときに支給される遺族(補償)一時金の額に満たない場合は、その差額が支給されることになる。
よって、「労働者の死亡の当時遺族補償年金を受けることができる遺族がないときに支給される遺族(補償)一時金の額に厚生労働大臣が定める率を乗じる」とした問題文は誤りである。

※遺族(補償)年金の受給権が消滅した場合の遺族(補償)一時金
「給付基礎日額の1000日分 − 支給済の遺族(補償)年金に厚生労働大臣が定める率を乗じた額」

(D)誤り
法12条の5第2項
保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができないが、年金たる保険給付を受ける権利を独立行政法人福祉医療機構の担保に供することはできる。
しかし、譲渡に関しては例外が認められていないので、遺族補償給付又は遺族給付を受ける権利を、先順位の遺族がその権利を次順位の遺族に譲り渡すこともできない。
よって問題文は誤りである。

(E)誤り
法附則60条5項、法附則63条3項
遺族(補償)年金前払一時金の支給を受ける権利の消滅時効は2年である。
よって「5年」とした問題文は誤りである。

  

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