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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成16年労災-第2問(保険給付等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成16年労災-第2問(保険給付等)

保険給付等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)労災保険の保険給付には、業務災害に関する保険給付及び通勤災害に関する保険給付のほか、業務上の事由及び通勤のいずれにも関連する保険給付として、二次健康診断等給付がある。

(B)特別支給金は、業務災害及び通勤災害に関するすべての保険給付と関連して支給される。

(C)事業主が虚偽の報告又は証明をしたため不正に保険給付を受けた者があるときは、政府は、その事業主と受給者に対し、遅滞なく、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部を連帯して返納させなければならない。

(D)労災保険の保険給付のうち、労働基準法に規定する災害補償の事由と関連するものは、療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付及び葬祭料に限られる。

(E)一人親方等の特別加入者のうち、1.自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は漁船による水産動植物の採捕の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者及びこれらの者が行う事業に従事する者、2.農業における所定の作業に従事する者、3.家内労働法にいう家内労働者及びその補助者で所定の作業に従事するものは、通勤災害に関しては労災保険の保険給付を受けることができない。



■解説

(A)誤り
法7条1項、法26条1項
労災保険法の保険給付は、次のとおりである。
1.業務災害に関する保険給付
2.通勤災害に関する保険給付
3.二次健康診断等給付
上記のうち「二次健康診断等給付」は、業務上の事由による脳血管疾患及び心臓疾患の発生を予防するための保険給付であるが、通勤災害による災害の発生を予防するための保険給付は行われていない。
よって、問題文は誤りとなる。

(B)誤り
特別支給金則2条、特別支給金則附則6条
例えば、療養(補償)給付に関連する特別支給金がないように、業務災害及び通勤災害に関するすべての保険給付と関連して特別支給金が支給されるわけではない。
よって、問題文は誤りとなる。

(参考)
特別支給金の種類
保険給付 一般特別支給金 ボーナス特別支給金
休業(補償)給付 休業特別支給金 なし
傷病(補償)年金 傷病特別支給金 傷病特別年金
障害(補償)年金 障害特別支給金 障害特別年金
障害(補償)一時金 障害特別支給金 障害特別一時金
障害(補償)年金差額一時金 なし 障害特別年金差額一時金
遺族(補償)年金 遺族特別支給金 遺族特別年金
遺族(補償)一時金 遺族特別支給金 遺族特別一時金

(C)誤り
法12条の3第2項
偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者がある場合において、事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部の徴収金の納付を命ずることができるとされている。
よって、「全部を連帯して返納させなければならない」とした問題文は誤りである。
なお、この場合の徴収金については、実際に受けた保険給付のうち、偽りその他不正の手段により給付を受けた部分に相当する価額に限られている。(昭和40年7月31日基発906号)

(D)誤り
法19条、労基法81条
業務上の疾病等の療養開始後3年を経過した日において傷病補償年金が支給されている場合又はその後に傷病補償年金の支給を受けるようになった場合には、それぞれ、当該3年を経過した日又は傷病補償年金を受けることとなった日において、労働基準法81条の打切補償を支払ったものとみなすことになっているので、障害補償年金についても「労働基準法に規定する災害補償の事由と関連する」ことになる。
よって問題文は誤りである。

(E)正解
法35条1項、則46条の22の2
一人親方等の特別加入者のうち、次の者については、住居と就業場所との間の往復の実態が明確でないので通勤災害に関する保険給付の対象にはなっていない。

1.個人タクシー業者及び個人貨物運送業者
2.漁船による自営漁業者
3.特定農作業従事者
4.指定農業機械作業従事者
5.家内労働者等

  

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