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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成16年労災-第6問(労働者災害補償保険全般)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成16年労災-第6問(労働者災害補償保険全般)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)行政庁は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者(死亡した労働者の遺族を除く。)に対し、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。

(B)船舶の沈没、行方不明等により、又は航空機の墜落、行方不明等により、それらに乗っていた労働者若しくはそれらが航行中に行方不明となった労働者の生死が6か月間わからない場合又はこれらの労働者の死亡が6か月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族補償給付、葬祭料、遺族給付及び葬祭給付の支給に関する規定の適用については、船舶の沈没、行方不明等の日若しくは航空機の墜落、行方不明等の日又は労働者が行方不明となった日に、当該労働者は、死亡したものと推定される。

(C)保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができないが、年金たる保険給付を受ける権利を法律の定めるところにより独立行政法人福祉医療機構に担保に供する場合は、この限りでない。

(D)同一の傷病に関し、休業補償給付又は休業給付を受けている者が傷病補償年金若しくは障害補償給付又は傷病年金若しくは障害給付を受ける権利を有することとなり、かつ、休業補償給付又は休業給付を行わないこととなった場合において、その後もなお休業補償給付又は休業給付が支払われたときは、その支払われた休業補償給付又は休業給付は、過誤払が行われたものとして返還されるべきものであるが、支給されるべき傷病補償年金若しくは障害補償給付又は傷病年金若しくは障害給付に充当することもできる。

(E)障害補償一時金若しくは障害一時金又は遺族補償一時金若しくは遺族一時金の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額は、当該一時金を受ける権利が療養開始後1年6か月を経過するまでの間に生じたものであるときは、その期間内に係る休業給付基礎日額により、当該権利が療養開始後1年6か月を経過した日以後の日に生じたものであるときは、療養開始後1年6か月を経過した日以後の日に係る休業給付基礎日額による。



■解説

(A)誤り
法47条の2
行政庁は、保険給付に関して必要があると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者(遺族補償年金又は遺族年金の額の算定の基礎となる者を含む。)に対し、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができるとされている。
よって、行政庁が指定する医師の強制診断の規定は「死亡した労働者の遺族」も含まれるので誤りとなる。

(B)誤り
法10条
問題文の場合は、生死が3か月間わからない場合又は3か月以内に死亡が明らかとなったが具体的な死亡の時期がわからない場合は、事故が起こった日又は労働者が行方不明となった日に死亡したものと推定されることになっている。
よって、問題文は、「労働者の生死が6か月間わからない場合又はこれらの労働者の死亡が6か月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合」となっているので誤りである。

(C)正解
法12条の5第2項
保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
しかし、例外的に、年金たる保険給付を受ける権利を独立行政法人福祉医療機構法の定めるところにより独立行政法人福祉医療機構に担保に供することは認められている。

(D)誤り
法12条3項
年金給付の受給中に支給停止事由や減額改定するべき事由に該当したのにもかかわらず、誤って年金給付が支払われてしまった場合は、その後に支払われる年金給付の内払いとみなすことができ、又同一の傷病について保険給付を受ける権利が消滅し、新たな給付を受ける権利を取得した場合(休業補償給付が消滅し、傷病補償年金が支給されるようになった場合など)に誤って権利が消滅した保険給付が支給されてしまったときは、新たな保険給付の内払いとみなされることになっている。
よって、問題文の場合は「充当」ではなく「内払い」処理することになる。
なお、充当とは、年金給付の受給権者が死亡し、その受給権が消滅したのにもかかわらず、引き続き支払いがなされてしまった場合に、過誤払いによる金額を返還する義務がある者が、労働者が死亡したことにより新たな保険給付の受給権を取得(遺族補償年金など)したときは、その者に支払う給付を充当して返還があったものとみなす処理や遺族(補償)年金の受給権者が死亡したのにもかかわらず、誤って支給されていた場合に、他に同順位の受給権者がいたときは、同順位の受給権者に支払われる遺族(補償)年金を返還すべき額に充当する処理をいう。(法12条の2)

(E)誤り
法8条の3第1項、法8条の4
一時金給付基礎日額の算定は、保険給付の受給権の発生時期に関係なく、年金給付基礎日額に準じて算定されることになる。
ただし、年齢階層別の最低最高限度額は適用されないので注意すること。
よって、問題文は「休業給付基礎日額」に準じて算定するとしているので誤りである。

  

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