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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成17年労災-第2問(保険給付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成17年労災-第2問(保険給付)

保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)業務上の事由による疾病として療養補償給付の対象となる疾病の範囲は、厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2)で定められており、通勤による疾病として療養給付の対象となる疾病の範囲も、この厚生労働省令の規定が準用される。

(B)厚生労働省令(労働基準法施行規則別表第1の2)では、業務上の疾病を例示しており、例示された最後の疾病は「その他業務に起因することの明らかな疾病」であるが、その具体的な疾病名は、厚生労働大臣が告示している。

(C)労働者の負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となった事故が、当該労働者又はその利害関係者の故意によって生じたものであるときは、保険給付は行われない。

(D)事業主が、故意又は重大な過失によって労働保険料の納付を怠った期間中に生じた事故に関しては、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

(E)特別加入者に係る業務災害については、労働者の場合と異なり、業務の範囲等を確定することが通常困難であることから、その認定は、厚生労働省労働基準局長が定める基準によって行われる。



■解説

(A)誤り
法22条2項、則18条の4、労基則35条
療養給付の対象になる通勤による疾病の範囲は、「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病」とされている。
しかし、その疾病の範囲について、「労働基準法施行規則別表第1の2」は準用されていない。
よって、通勤による疾病の範囲についても、業務上の事由と同様に「労働基準法施行規則別表第1の2」を準用されるとした問題文は誤りである。

(B)誤り
労基則35条、労基則別表第1の2第9号
具体的な疾病名は告示されていない。
よって、「具体的な疾病名は、厚生労働大臣が告示している」とした問題文は誤りである。
なお、労基則別表第1の2第9号に該当する疾病としては、第1号から第8号までに掲げる疾病の原因因子以外の業務上の有害因子によって起こる疾病又は有害因子が特定し得ないが業務起因性の認められる疾病(これに該当するものとしては、中枢神経及び循環器疾患(脳卒中、急性心臓死等)等の疾病)があるとされている。(昭和53年3月30日基発186号)

(C)誤り
法12条の2の2第1項
労働者が、故意に事故を生じさせたときは、保険給付は行われないが、その利害関係者が故意に事故を生じさせたときは、保険給付は制限されない。
よって、「その利害関係者の故意についても保険給付を行わない」とした問題文は誤りである。

(D)誤り
法31条1項2号
保険料を納付しない期間(督促状に指定する期限後)中に生じた事故については、労働基準法の災害補償の価額の範囲内で、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができるとされている。
なので、事業主が保険料を納付しない期間中であっても、保険給付は行われる。
よって、「保険給付の全部又は一部を行わないことができる」とした問題文は誤りである。

(E)正解
法37条、則46条の26、昭和40年11月1日基発1454号
特別加入者の業務又は作業(職場適応訓練作業を除く。)の内容は、労働者の場合と異なり、労働契約に基づく他人の指揮命令により他律的に決まるものではなく、当人自身の判断によっていわば主観的に決まる場合が多いから、その業務又は作業の範囲を確定することが通常困難である。
このため、特別加入者に係る業務災害及び通勤災害の認定については、厚生労働省労働基準局長が定める基準によって行うこととされている。

  

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