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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成18年労災-第5問(遺族補償給付及び葬祭料)
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■平成18年労災-第5問(遺族補償給付及び葬祭料)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)遺族補償給付を受けることができる遺族は、死亡した労働者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下、この問において同じ。)であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものでなければならない。

(B)遺族補償年金を受ける権利を有する者の所在が1年以上明らかでない場合には、当該遺族補償年金は、同順位者があるときは同順位者の、同順位者がないときは次順位者の申請によって、その所在が明らかでない間、その支給を停止される。

(C)遺族補償給付を受けることができる配偶者には、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者も含まれるが、これはあくまで婚姻の届出が法律上可能な状態にあった者に限られるのであって、いわゆる重婚的内縁関係にあった者は含まれない。

(D)遺族補償年金を受ける権利を有する遺族は、その申請により、生計の維持が困難であると認められるときに限り、給付基礎日額の千日分に相当する額を限度として厚生労働省令で定める額の遺族補償前払一時金の支給を受けることができる。この場合には、遺族補償年金は、各月に支給されるべき額の合計額が当該遺族補償前払一時金の額に達するまでの間、支給を停止される。

(E)葬祭料の額は、31万5千円に給付基礎日額の30日分を加えた額(その額が給付基礎日額の60日分を超える場合には、給付基礎日額の60日
分)である。



■解説

(A)誤り
法16条、法16条の2第1項、法16条の7第1項
遺族補償給付は遺族補償年金と遺族補償一時金とされており、遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものとされている。
そして、遺族補償一時金を受けることができる遺族は、(1)配偶者、(2)労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母、(3)右に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹とされている。
よって、「配偶者であって、労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していたものでなければならない」とした問題文は誤りである。
なお、配偶者については事実婚の場合も含まれることになっている。

(B)正解
法16条の5第1項
遺族補償年金を受ける権利を有する者の所在が1年以上明らかでない場合には、当該遺族補償年金は、同順位者があるときは同順位者の、同順位者がないときは次順位者の申請によって、その所在が明らかでない間、その支給を停止することになっている。
よって、問題文は正解である。
なお、遺族補償年金の支給を停止された所在不明の遺族は、いつでも、その支給の停止の解除を申請することができる。(法16条の5第2項)

(C)誤り
法16条の2第1項、平成10年10月30日基発627号
重婚的内縁関係にあった者については、届出による婚姻関係がその実態を失って形骸化し、かつ、その状態が固定化して近い将来解消される見込みがなかった場合に限って、事実上の婚姻関係にある者を配偶者として認めるものとされている。
そして、その場合は、重婚的内縁関係であっても、届出による婚姻関係にある者でなく、事実上の婚姻関係にある者に遺族(補償)給付が支給されることになるとされている。
よって、「いわゆる重婚的内縁関係にあった者は含まれない」とした問題文は誤りである。

(D)誤り
法附則60条1項・2項・3項、則附則31項・34項
遺族補償年金を受ける権利を有する遺族の請求に基づき、遺族補償年金前払一時金が支給されることになっており、遺族補償年金前払一時金の額は、給付基礎日額の1,000日分に相当する額を限度として厚生労働省令で定める額(200日分、400日分、600日分、800日分又は1,000日分に相当する額)とされている。
そして、遺族補償年金前払一時金が支給される場合には、当該労働者の死亡に係る遺族補償年金は、各月に支給されるべき額の合計額が厚生労働省令で定める算定方法に従い当該遺族補償年金前払一時金の額に達するまでの間、その支給を停止することとされている。
なお、厚生労働省令で定める算定方法とは、遺族補償年金前払一時金が支給された月後最初の遺族補償年金の支払期月から1年を経過した月前に支給されるべき遺族補償年金の額と最初の遺族補償年金の支払期月から1年を経過した月以後各月に支給されるべき遺族補償年金の額を、年5分の単利で割り引いた額との合算額が 遺族補償年金前払一時金の額に達するまでとされている。
よって、遺族補償年金前払一時金が請求(問題文中の「申請」は誤り)することができるのを「遺族生計の維持が困難であると認められるときに限り」と限定した点により、問題文は誤りとなる。
※問題文中の「遺族補償前払一時金」は記述ミスであると思われる。

(E)誤り
法17条、則17条
葬祭料の額は、31万5千円に給付基礎日額の30日分を加えた額(その額が給付基礎日額の60日分に満たない場合には、給付基礎日額の60日分)とされている。
よって、「その額が給付基礎日額の60日分を超える場合」とした問題文は誤りである。

  

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