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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成18年労災-第6問(時効)
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■平成18年労災-第6問(時効)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)療養補償給付を受ける権利は、当該傷病が発生した日の翌日から2年を経過したときは、時効によって消滅する。

(B)休業補償給付を受ける権利は、当該休業に係る傷病が発生した日の翌日から2年を経過したときは、時効によって消滅する。

(C)障害補償給付を受ける権利は、当該傷病が治って障害が残った日の翌日から5年を経過したときは、時効によって消滅する。

(D)傷病補償年金を受ける権利は、当該傷病の療養の開始後1年6か月を経過した日の翌日から2年を経過したときは、時効によって消滅する。

(E)葬祭料を受ける権利は、死亡した労働者の葬祭が行われた日の翌日から2年を経過したときは、時効によって消滅する。



■解説

(A)誤り
法13条、法42条、民法166条1項
療養の給付については、現物給付であるために時効の問題は生じない。
また、療養の費用の支給を受ける権利は、療養に要する費用を支払った日の翌日から2年で時効消滅する。
よって、「当該傷病が発生した日の翌日から2年を経過したとき」とした問題文は誤りである。

(B)誤り
法14条1項、法42条、民法166条1項
休業補償給付は、業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日ごとにその翌日から時効が進行する。
なお、消滅時効は2年である。
よって、「当該休業に係る傷病が発生した日の翌日から2年を経過したとき」とした問題文は誤りである。

(C)正解
法42条、民法166条1項
障害(補償)給付を受ける権利は5年で時効により消滅する。
なお、消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する(民法166条1項)ことになっているので、障害(補償)給付については、傷病が治った日の翌日から時効が進行することになる。
よって、問題文は正解である。

(D)誤り
昭和52年3月30日発労徴第21号・基発第192号
傷病(補償)年金については、被災者の請求によらず政府が職権で給付を決定するものであり、基本権(保険給付を受ける権利)の裁定について時効の問題を生ずることは考えられない。
よって、「当該傷病の療養の開始後1年6か月を経過した日の翌日から2年を経過したとき」とした問題文は誤りである。
なお、支分権(各支払期ごとに発生する支払請求権)については、会計法第30条の規定により5年で時効消滅するので注意すること。

(E)誤り
法42条、民法166条1項
葬祭料を受ける権利は2年で時効により消滅する。
なお、葬祭料は、葬祭に要した費用に対する実費補償として支給されるのでなく、葬祭を行うものにその費用として支給されるものなので、その権利を行使できる時は、労働者が死亡した日の翌日となる。
よって、「葬祭が行われた日の翌日から2年を経過したとき」とした問題文は誤りである。

(参考)
時効期間と消滅時効のまとめ
保険給付 起算日 時効期間
療養(補償)給付
(療養の費用の支給)
療養の費用を支払った日の翌日 2年
休業(補償)給付 休業の日ごとにその翌日 2年
障害(補償)年金前払一時金 傷病が治った日の翌日 2年
遺族(補償)年金前払一時金 労働者が死亡した日の翌日 2年
葬祭料(葬祭給付) 労働者が死亡した日の翌日 2年
介護(補償)給付 介護を受けた月の翌月の初日 2年
二次健康診断等給付 労働者が一次健診の結果を了知し得る日の翌日 2年
障害(補償)年金 傷病が治った日の翌日 5年
障害(補償)一時金 傷病が治った日の翌日 5年
障害(補償)年金差額一時金 労働者が死亡した日の翌日 5年
遺族(補償)年金 労働者が死亡した日の翌日 5年
遺族(補償)一時金 労働者が死亡した日の翌日 5年

  

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