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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成19年労災-第1問(業務上の疾病等)
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■平成19年労災-第1問(業務上の疾病等)

次の記述のうち、 正しいものはどれか。

(A)業務上の負傷に起因する疾病は、労働基準法施行規則第35条及び別表第1の2で定める業務上の疾病には含まれない。

(B)通勤による疾病とは、通勤途上で生じた疾病その他厚生労働省令で定める疾病をいう。

(C)事業場内での事故による負傷であっても、例えば自動車の整備に従事する者が事業場の施設内で休憩時間中に喫煙しようとしたところガソリンの染み込んだ作業衣に引火して生じた火傷は、休憩時間中の私的行為によるものであるので、業務上の負傷に該当しない。

(D)業務との関連性がある疾病であっても、労働基準法施行規則別表第1の2第1号から第10号までに掲げる疾病その他「業務に起因することの明らかな疾病」に該当しなければ、業務上の疾病とは認められない。(一部改正)

(E)業務上の疾病が治って療養の必要がなくなった場合には、その後にその疾病が再発しても、新たな業務上の事由による発病でない限り、業務上の疾病とは認められない。



■解説

(A)誤り
労基則35条、労基則別表第1の2
業務上の疾病は、労働基準法施行規則別表第1の2に掲げる疾病とされており、 別表第1の2第1号には「業務上の負傷に起因する疾病」が規定されている。
よって、問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法22条1項、則18条の4
「通勤による疾病」は、厚生労働省令で定めるものに限られており、厚生労働省令では、「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病」と規定している。
よって、「通勤途上で生じた疾病」であっても、「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病」でない場合は、「通勤による疾病」に該当せず、問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法7条1項1号、昭和33年5月12日基発298号
休憩時間中の事故であっても、それが事業場施設の欠陥等に起因する場合は業務上の災害となる。
問題文の場合、休憩時間中の喫煙という私的行為中に発生した災害であるが、作業衣に染み込んだガソリンに引火したために発生したものであり、その原因が被災者の業務内容(自動車整備)からして明らかに業務に起因するものであると考えられるので、業務上の災害となる。
よって、「業務上の負傷に該当しない」とした問題文は誤りである。

(D)正解
労基則35条、労基則別表第1の2
業務上の疾病は、労働基準法施行規則別表第1の2に掲げる疾病とされている。
別表第1の2では、第1号から第10号までに一定の疾病を例示列挙するとともに、第11号に「その他業務に起因することの明らかな疾病」として包括的な救済規定を補足的に設けるいわゆる「例示列挙主義」を堅持している。
したがって、業務との関連性がある疾病であっても、例示列挙された疾病その他業務に起因することの明らかな疾病(業務との相当因果関係が認められるもの)に該当しなければ「業務上の疾病」とはならない。
よって、問題文は正解である。

(E)誤り
法7条1項1号、昭和23年1月9日基災発13号
再発は、原因である業務上の負傷又は疾病の連続であって、独立した別個の負傷又は疾病ではないから、引続き災害補償は行なわれるとされている。
よって、業務上の疾病が治って療養の必要がなくなった場合であっても、その後にその疾病が再発したときは業務上の疾病と認められることとなり、「新たな業務上の事由による発病でない限り、業務上の疾病とは認められない」とした問題文は誤りである。

  

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