社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成19年労災-第4問(療養補償給付及び二次健康診断等給付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成19年労災-第4問(療養補償給付及び二次健康診断等給付)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、 以下において「労災保険法」とは「労働者災害補償保険法」のことである。

(A)療養の給付は、労災保険法第29条第1項の事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者において行われる。

(B)業務上の傷病について、労働基準法は、使用者がその費用で「必要な療養」を行い、又は「必要な療養の費用」を負担しなければならないとし、その「療養の範囲」として、労働基準法施行規則は具体的な療養項目のうち「療養上相当と認められるもの」と定めており、これに対応して、労災保険法は、療養補償給付たる「療養の給付」の範囲として、同様な療養項目のうち「政府が必要と認めるものに限る」と定めている。

(C)療養の給付をすることが困難な場合のほか、療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合には、療養の給付に代えて療養の費用が支給される。

(D)療養補償給付たる療養の費用の支給を受けようとする者は、所定の事項を記載した請求書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならないが、その場合に、負傷又は発病の年月日、傷病の発生状況等をはじめ、傷病名及び療養の内容並びに療養に要した費用(病院又は診療所の労働者が提供する看護及び訪問看護又は移送に要した費用を除く。)の内容について、医師その他の診療担当者の証明を受ける必要がある。

(E)二次健康診断等給付を受けようとする者は、所定の事項を記載した請求書を、当該二次健康診断等給付を受けようとする労災保険法第29条第1項の事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所を経由して所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。



■解説

(A)正解
法13条1項、則11条1項
療養の給付は、法29条1項の社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは訪問看護事業者(居宅を訪問することによる療養上の世話又は必要な診療の補助(訪問看護)の事業を行う者)において行われる。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法13条2項、労基法75条1項、労基則36条
労働基準法では、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならないと規定(療養補償)しており、その療養補償に係る療養の範囲は、次の療養項目のうち「療養上相当と認められるもの」としている。
これに対応して、労災保険法では、療養補償給付たる「療養の給付」の範囲として、同様の療養項目のうち「政府が必要と認めるものに限る」としている。
(1)診察
(2)薬剤又は治療材料の支給
(3)処置、手術その他の治療
(4)居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
(5)病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
(6)移送
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法13条3項、則11条の2
療養の給付をすることが困難な場合、療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合には、療養の給付に代えて療養の費用が支給される。
よって、問題文は正解となる。
なお、療養の給付を行なうことが困難な場合とは、当該地区に指定病院等がない場合とか、特殊な医療技術又は診療施設を必要とする傷病の場合に最寄りの指定病院等にこれらの技術又は施設の整備がなされていない場合等政府側の事情において療養の給付を行なうことが困難な場合をいう。これに対し、療養の給付を受けないことにつき相当の理由がある場合とは、労働者側に療養の費用によることを便宜とする事情がある場合、すなわち、当該傷病が指定病院等以外の病院、診療所等で緊急な療養を必要とする場合とか、最寄りの病院、診療所等が指定病院等でない等の事情がある場合をいうとされている。(昭和41年1月31日 基発第73号 )

(D)誤り
法13条、則12条の2第1項・第2項
療養補償給付たる療養の費用の支給を受けようとする者は、次の事項を記載した請求書を、所轄労働基準監督署長に提出しなければならないとされているが、「負傷又は発病の年月日」及び「災害の原因及び発生状況」については事業主の証明を、「傷病名及び療養の内容」及び「療養に要した費用の額」については、医師その他の診療、薬剤の支給、手当又は訪問看護を担当した者(診療担当者)の証明を受けなければならないとされている。
ただし、看護(病院又は診療所の労働者が提供するもの及び訪問看護を除く。)又は移送に要した費用の額については、証明を受ける必要はないとされている。
(1)労働者の氏名、生年月日及び住所
(2)事業の名称及び事業場の所在地
(3)負傷又は発病の年月日
(4)災害の原因及び発生状況
(5)傷病名及び療養の内容
(6)療養に要した費用の額
(7)療養の給付を受けなかった理由
よって、「療養に要した費用の額」についての診療担当者の証明は、「病院又は診療所の労働者が提供するもの及び訪問看護」についても受ける必要があり、それを「除く」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法26条、則11条の3第1項、則18条の19
二次健康診断等給付を受けようとする者は、所定の事項を記載した請求書を、当該二次健康診断等給付を受けようとする法29条第1項の社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所(健診給付病院等)を経由して所轄都道府県労働局長に提出しなければならないとされている。
よって、問題文は正解となる。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(労災保険法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved