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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成20年労災-第2問(保険給付等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成20年労災-第2問(保険給付等)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)通勤による疾病については、通勤による負傷に起因する疾病のほか、業務上の疾病の範囲を定める厚生労働省令の規定が準用される。

(B)特別加入者の事故が当該特別加入に係る保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該滞納に係る保険料が納付されるまでの間に限り、当該事故に係る保険給付の全部又は一部の支給を行わないことができる。

(C)一人親方等の特別加入者のうち、自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者その他の労働者災害補償保険法施行規則第46条の22の2に定める者は、通勤災害に関する労災保険の保険給付を受けることができない。

(D)療養補償給付は、@診察、A薬剤又は治療材料の支給、B処置、手術その他の治療、C居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、D病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護、E移送であって、政府が必要と認めるものを対象としており、これらのうち@からDまでについては「療養の給付」とし、Eについては「療養の費用」を支給することとされている。

(E)労災保険の保険給付を受ける権利は、一時金としての保険給付にあっては2年を、年金としての保険給付にあっては5年を経過したとき、時効によって消滅する。



■解説

(A)誤り
法22条2項、則18条の4、労基則35条、労基則別表第1の2
労災保険給付の対象となる通勤による疾病の範囲は、「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病」とされている。
しかし、その疾病の範囲について、「労働基準法施行規則別表第1の2」は準用されていない。
よって、「業務上の疾病の範囲を定める厚生労働省令の規定が準用される。」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法34条1項、法35条1項、法36条1項、昭和40年12月6日基発1591号
特別加入者の事故が当該特別加入に係る保険料が滞納されている期間(督促状の指定期限の翌日から概算保険料を納付した日の前日まで)に生じたものであるときは、事業主からの費用徴収でなく保険給付の支給制限が行われる。
支給制限の期間は療養を開始した日(即死の場合は事故発生の日)の翌日から起算して3年以内の期間において支給事由の生じたものに限られている。
よって、「当該滞納に係る保険料が納付されるまでの間に限り」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
法35条1項、則46条の22の2
一人親方等の特別加入者のうち住居と就業の場所との間の往復の状況等から通勤と業務の明確な区分がつきにくい、個人タクシー業者・個人貨物運送業者・個人水産業者・特定農作業従事者・指定農業機械作業従事者・危険有害作業に従事する家内労働者には通勤災害が適用されないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法13条
療養補償給付は、療養の給付とし、その範囲は、次のもの(政府が必要と認めるものに限る。)と
されている。
(1)診察
(2)薬剤又は治療材料の支給
(3)処置、手術その他の治療
(4)居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
(5)病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
(6)移送
よって、「移送」についても療養の給付として支給され、「Eについては「療養の費用」を支給することとされている。」とした問題文は誤りとなる。
なお、療養の費用の支給については、療養の給付をすることが困難な場合、療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由のある場合に、療養の給付に代えて支給されることとされており、療養補償給付は、療養の給付が原則となっている。

(E)誤り
法42条、法附則58条3項、法附則59条4項、法附則60条5項
療養(補償)給付、休業(補償)給付、葬祭料(葬祭給付)、介護(補償)給付、二次健康診断等給付、障害(補償)年金前払一時金、遺族(補償)年金前払一時金を受ける権利は、2年を経過したときに時効によって消滅し、障害(補償)給付、遺族(補償)給付、傷害(補償)年金差額一時金を受ける権利は、5年を経過したときに時効によって消滅することになっている。
よって、障害(補償)一時金、傷害(補償)年金差額一時金、遺族(補償)一時金を受ける権利の消滅時効は5年となっているため「一時金としての保険給付にあっては2年」とした問題文は誤りとなる。
なお、療養(補償)給付のうち療養の給付については現物給付であるため、傷病(補償)年金については職権で支給決定されるため(支給決定後の支払請求権は5年で時効消滅する。)、時効の問題は生じない。

  

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