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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成20年労災-第3問(保険給付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成20年労災-第3問(保険給付)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)療養補償給付又は療養給付の請求書は、療養の給付又は療養の費用のいずれについても、療養を受ける病院、診療所等を経由し所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

(B)傷病補償年金又は傷病年金は、業務上の事由又は通勤により被災した労働者が所定の支給要件に該当した場合に所轄労働基準監督署長が職権で支給の決定を行うものであり、被災労働者が支給の請求を行う必要はないが、当該障害の程度が重くなったときは、被災労働者が傷病補償年金又は傷病年金の変更についての請求書を提出する必要がある。

(C)休業補償給付又は休業給付を受ける労働者が同一の事由により厚生年金保険法による障害厚生年金を受けることができる場合には、休業補償給付又は休業給付の額は、所定の率により減額調整されるが、同一の事由により国民年金法による障害基礎年金を受けることができる場合には、休業補償給付又は休業給付の額が減額調整されることはない。

(D)障害補償年金又は障害年金を受ける権利を有する者は、当該年金の前払一時金の支給を受けることができ、所定の要件を満たす場合には、厚生労働省令で定める額を上限として、一定の期間の経過後に、同一の事由について、再度、前払一時金の支給を受けることができる。

(E)障害補償給付を支給すべき身体障害の障害等級については、同一の業務災害により第5級以上に該当する身体障害が2以上残った場合は、第1級を上限として、重い方の身体障害の障害等級を3級だけ繰り上げた障害等級による。



■解説

(A)誤り
則12条1項、則12条の2第1項、則18条の5第1項、則18条の6第1項
療養(補償)給付たる療養の費用の支給を受けようとする者は、所定の事項を記載した請求書を、所轄労働基準監督署長に提出(療養を受ける病院等を経由せずに直接)しなければならない。
よって、「療養の給付又は療養の費用のいずれについても」とした問題文は誤りとなる。
なお、なお、療養(補償)給付たる療養の給付を受けようとする者は、所定の事項を記載した請求書を、当該療養の給付を受けようとする指定病院等を経由して所轄労働基準監督署長に提出しなければならないことになっており、問題文の記述は正しい。

(B)誤り
法18条の2、法23条2項、則18条の3、則18条の13第2項
傷病(補償)年金は、業務上の事由又は通勤により被災した労働者が所定の支給要件に該当した場合に所轄労働基準監督署長が職権で支給の決定を行うことになっている。
そして、傷病(補償)年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があり新たに他の傷病等級に該当するようになったときにも所轄労働基準監督署長が職権にて変更決定を行うことになっている。(被災労働者の請求を要しない。)
よって、「当該障害の程度が重くなったときは、被災労働者が傷病補償年金又は傷病年金の変更についての請求書を提出する必要がある。」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法別表第1
同一の事由により労災保険の休業(補償)給付と厚生年金保険の障害厚生年金、国民年金の障害基礎年金が支給されるときは、障害厚生年金及び障害基礎年金が全額支給され、休業(補償)給付が所定の率により減額調整されることになっている。
よって、「同一の事由により国民年金法による障害基礎年金を受けることができる場合には、休業補償給付又は休業給付の額が減額調整されることはない。」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
法附則59条、法附則61条、則附則27条、則附則38条
政府は、障害(補償)年金を受ける権利を有する者に対し、その請求に基づき、保険給付として、障害(補償)年金前払一時金を支給することになっており、その額は障害等級に応じて定められた額のうち、受給権者が選択する額とされている。
障害(補償)年金前払一時金の請求は、障害(補償)年金の請求と同時、または、障害(補償)年金の支給決定の通知があった日の翌日から起算して1年を経過する日までの間に行わなければならない。
しかしながら、障害(補償)年金前払一時金の請求は、同一の事由に関し、1回に限り行うことができるため、複数回に分けて請求することは認められていない。
よって、「一定の期間の経過後に、同一の事由について、再度、前払一時金の支給を受けることができる」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
則14条3項
障害補償給付を支給すべき身体障害の障害等級については、同一の業務災害により第13級以上の障害が2以上ある場合は重い方の障害等級を次のとおり繰り上げることになっている。
(1)第13級以上に該当する身体障害が2以上あるときは、1級
(2)第8級以上に該当する身体障害が2以上あるときは、2級
(3)第5級以上に該当する身体障害が2以上あるときは、3級
※繰り上げた障害等級が第8級以下である場合において、各障害等級に応ずる障害補償給付の額の合算額が、繰り上げた障害等級に応ずる障害補償給付の額に満たないときは、各障害等級に応ずる障害補償給付の額の合算額が障害補償給付の額となる。(第13級と第9級の場合にのみ該当する。)
よって、問題文は正解となる。

  

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