社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成21年労災-第1問(保険給付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成21年労災-第1問(保険給付)

保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下において、「労災保険法」とは「労働者災害補償保険法」のこと、「労災保険法施行規則」とは「労働者災害補償保険法施行規則」のこと、「労災保険」とは「労働者災害補償保険」のことである。

(A)労災保険法による保険給付は、労働者を使用するすべての事業について、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して行われる。

(B)労働者以外の者であっても、特別加入を認められた者は、労災保険法上は労働者とみなされ、通勤災害に係る保険給付を除くすべての保険給付を受けることができる。

(C)業務に関連がある疾病であっても、労働基準法施行規則別表第1の2の各号に掲げられている疾病のいずれにも該当しないものは、業務上の疾病とは認められない。

(D)通勤による疾病は、通勤による負傷に起因する疾病その他厚生労働省令で定める疾病に限られ、その具体的範囲は、労災保険法施行規則に基づき厚生労働大臣が告示で定めている。

(E)業務災害又は通勤災害により受けるべき最初の保険給付について被災者の請求が認められた場合には、その後に当該業務災害又は通勤災害に関し引き続いて生ずる事由に係る保険給付について政府が必要と認めるときは、当該被災者からの請求を待つまでもなく職権で保険給付が行われる。



■解説

(A)誤り
法3条2項、法附則12条(昭和44年12月9日法律第83号)、整備令17条
原則として、労働者を使用する事業は、労災保険の強制適用事業になっているが、国の直営事業、官公署の事業(労働基準法別表第1に掲げる事業を除く。)、暫定任意適用事業で任意加入をしていない事業については、労災保険法は適用されないことになっている。
よって、「労働者を使用するすべての事業について」とした問題文は誤りとなる。
なお、国の直営事業については、国家公務員災害補償法が適用され(特定独立行政法人の職員も同様)、官公署の事業のうち国家公務員については国家公務員災害補償法、地方公務員については地方公務員災害補償法が適用される。(現業かつ非常勤の地方公務員には労災保険が適用される。)

(B)誤り
法26条1項、法34条1項、法35条1項、法36条1項、則46条の22の2、平成13年3月30日基発233号
一人親方等の特別加入者のうち住居と就業場所との間の往復の実態が明確でない、個人タクシー業者・個人貨物運送業者・個人水産業者・特定農作業従事者・特定農業機械作業従事者・危険有害な作業に従事する家内労働者等については通勤災害に係る保険給付を受けることができないが、それ以外の特別加入者については、通勤災害に係る保険給付を受けることができる。
また、特別加入者については、労働安全衛生法の適用がなく、定期健康診断等の適用対象となっていないため、二次健康診断等給付の対象になっていない。
よって、「通勤災害に係る保険給付を除くすべての保険給付を受けることができる」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
法7条1項、労基則35条、労基則別表1の2、昭和56年2月2日労働省告示第7号(改正 平成12年12月25日労働省告示第120号)
業務上の疾病の範囲は、労基則別表1の2及びこれに基づく告示において定められており、このいずれにも該当しないものは業務上の疾病と認められないことになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、労基則第35条及び別表第1の2並びに告示においては、一定の疾病を例示列挙するとともに包括的な救済規定を補足的に設けるいわゆる「例示列挙主義」を堅持している。したがって、業務上疾病の範囲を具体的に掲げられた疾病に限定するものではなく、列挙疾病以外の疾病であっても業務との相当因果関係が認められるものは、包括的救済規定によって災害補償又は労災保険給付の対象となることは当然である。(昭和53年3月30日基発186号)

(D)誤り
法22条1項、則18条の4
通勤による疾病の範囲は、通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病とされており、具体的な範囲は定められていない。
よって、「その具体的範囲は、労災保険法施行規則に基づき厚生労働大臣が告示で定めている」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法12条の8第2項・4項
傷病(補償)年金を除いて労災保険給付は、被災者等の請求に基づき行われることになっており、その後に引き続いて生じる事由に係る保険給付についても同様である。
よって、「当該被災者からの請求を待つまでもなく職権で保険給付が行われる」とした問題文は誤りとなる。
なお、傷病(補償)年金については、所轄労働基準監督署長の職権により支給決定が行われる。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(労災保険法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved