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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成21年労災-第5問(傷病補償年金)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成21年労災-第5問(傷病補償年金)

傷病補償年金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)傷病補償年金は、業務上の傷病に係る療養の開始後1年6か月を経過した日の属する月の翌月の初日以後の日において次のいずれにも該当し、かつ、その状態が継続するものと認められる場合に支給される。
@当該傷病が治っていないこと
A当該傷病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること

(B)業務上の傷病が療養の開始後1年6か月を経過しても治らず、かつ、その傷病により例えば次のいずれかの障害がある者は、厚生労働省令で定める傷病等級に該当する障害があり、傷病補償年金の受給者になり得る。
@両手の手指の全部の用を廃したもの
A両耳の聴力を全く失ったもの
B両足をリスフラン関節以上で失ったもの
C胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

(C)傷病補償年金は、労働者の請求に基づき、政府がその職権によって支給を決定するのであって、支給の当否、支給開始の時機等についての判断は、所轄労働基準監督署長の裁量に委ねられる。

(D)傷病補償年金の支給事由となる障害の程度は、厚生労働省令の傷病等級表に定められており、厚生労働省令で定める障害等級の第1級から第3級までの障害と均衡したものであって、年金給付の支給日数も同様である。

(E)傷病補償年金の受給者の障害の程度が軽くなり、傷病等級表に定める障害に該当しなくなった場合には、当該傷病補償年金の支給は打ち切られるが、なお療養のため労働することができないため賃金を受けない状態にある場合には、政府が労働者の請求を待たず職権で休業補償給付の支給を決定する。



■解説

(A)誤り
法12条の8第3項
傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年6か月を経過した日において次のいずれにも該当するとき、又は同日後次のいずれにも該当することとなったときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給することとされている。
1.当該負傷又は疾病が治っていないこと
2.当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること
よって、「1年6か月を経過した日の属する月の翌月の初日以後の日」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法12条の8第3項、則別表第1(障害等級表)、則別表第2(傷病等級表)
「@両手の手指の全部の用を廃したもの」、「A両耳の聴力を全く失ったもの」、「B両足をリスフラン関節以上で失ったもの」は障害等級4級に該当し、「C胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」は障害等級5級に該当する。
よって、問題文の例にある障害の状態は、いずれも傷病等級に該当せず、「厚生労働省令で定める傷病等級に該当する障害があり、傷病補償年金の受給者になり得る」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法12条の8第3項、則18条の2、昭和52年3月30日基発192号
傷病補償年金は、療養開始後1年6か月を経過している長期療養者から、その1年6か月を経過した日から1か月以内に傷病の状態等に関する届書に医師の診断書等を添えて提出させ、この届書により(届書の提出がない場合又は届書の内容が不十分な場合には、さらに、主治医に対する照会等適宜傷病の状態に関する調査を行った上)傷害の程度を認定し、労働基準監督署長が職権で支給決定することとされている。
よって、「労働者の請求に基づき」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法12条の8第3項、則18条の2、法別表第1、則別表第1(障害等級表)、則別表第2(傷病等級表)、昭和52年3月30日基発192号
傷病補償年金の支給事由となる障害の程度は、障害等級の第1級から第3級までの障害と均衡したものであって、年金給付の支給日数も同様である。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法12条の8第2項・第3項、法14条、法18条2項
傷病は治ゆしないが、その傷病による障害の程度が傷病等級表に掲げる障害の程度に該当しなくなったときは、傷病補償年金は打ち切られることになるが、なお、休業補償給付の支給要件に該当する場合は、労働者からの請求に基づき、休業補償給付の支給が行われる。
よって、「政府が労働者の請求を待たず職権で休業補償給付の支給を決定する」とした問題文は誤りとなる。

  

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