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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成21年労災-第6問(障害補償給付)
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■平成21年労災-第6問(障害補償給付)

障害補償給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)障害補償給付を支給すべき障害は、厚生労働省令で定める障害等級表に掲げる障害等級第1級から第14級までの障害であるが、同表に掲げるもの以外の障害は、その障害の程度に応じ、同表に掲げる障害に準じて障害等級が認定される。

(B)既に業務災害による障害の障害等級に応じて障害補償年金を受ける者が新たな業務災害により障害の程度を加重された場合には、その加重された障害の該当する障害等級に応ずる新たな障害補償年金が支給され、その後は、既存の障害に係る従前の障害補償年金は支給されない。

(C)障害等級表に該当する障害が2以上あって厚生労働省令の定める要件を満たす場合には、その障害等級は、厚生労働省令の定めるところに従い繰り上げた障害等級による。繰り上げた障害等級の具体例を挙げれば、次のとおりである。
@第8級、第11級及び第13級の3障害がある場合     第7級
A第4級、第5級、第9級及び第12級の4障害がある場合  第1級
B第6級及び第8級の2障害がある場合          第4級

(D)既に業務災害による障害の障害等級に応じて障害補償一時金を支給されていた者が新たな業務災害により同一の部位について障害の程度が加重され、それに応ずる障害補償年金を支給される場合には、その額は、原則として、既存の障害に係る障害補償一時金の額の25分の1を差し引いた額による。

(E)障害補償年金を受ける者の障害の程度について自然的経過により変更があった場合には、新たに該当することとなった障害等級に応ずる障害補償給付が支給され、その後は、従前の障害補償年金は支給されない。



■解説

(A)正解
法15条、則14条4項、則別表第1(障害等級表)
障害補償給付を支給対象となる障害は、障害等級表に掲げる障害等級第1級から第14級までの障害であるが、障害等級表に掲げるもの以外の身体障害については、その障害の程度に応じ、同表に掲げる身体障害に準じてその障害等級を定めることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法15条、則14条5項
既に業務災害による障害の障害等級に応じて障害補償年金を受ける者が新たな業務災害により障害の程度を加重された場合には、新たにその加重された障害の該当する障害等級に応ずる障害補償年金から既存の障害に係る従前の障害補償年金を差し引いた額の障害補償年金が支給されることになり、既存の障害に係る従前の障害補償年金は引き続き支給される。
よって、「その加重された障害の該当する障害等級に応ずる新たな障害補償年金が支給され、その後は、既存の障害に係る従前の障害補償年金は支給されない」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
法15条、則14条3項
障害等級の併合繰上げは次のようになっている。
どちらかの障害等級が第14級の場合 →重い方の等級
第13級以上の障害が2以上 →重い方の等級を1級繰上
第8級以上の障害が2以上 →重い方の等級を2級繰上
第5級以上の障害が2以上 →重い方の等級を3級繰上
※繰上げ後の等級が8級以下であるときに、各障害の支給額を合算した額が、併合繰上げにより繰上げられた等級による支給額に満たないときには、各障害の支給額を合算した額が支給される。具体的には、「第13級と第9級」のときのみである。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法15条、則14条5項
既にあった身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償給付が障害補償一時金相当額であり、新たな業務災害により同一の部位について障害の程度が加重され、障害補償年金が支給される場合の障害補償年金の額は、加重後の障害補償年金の額から既にあった身体障害の該当する障害等級に応ずる障害補償一時金相当額を25で除して得た額を差し引いた額とされている。
よって、問題文は正解となる。
※計算式
加重後の障害補償年金の額−(既存の障害補償一時金の額÷25)=支給額

(E)正解
法15条の2、昭和41年1月31日基発73号
障害補償年金支給事由となっている障害の程度が新たな傷病によらず、又は傷病の再発によらず、自然的に変更した場合には、職権又は請求により、その変更が障害等級第1級から第7級の範囲内であるときは、その変更のあった月の翌月の分から障害補償年金の額を改定し、その変更が障害等級第8級以下に及ぶときは、障害補償年金の受給権が消滅するので、その月分をもって障害補償年金の支給を打ち切り、障害補償一時金を支給することとされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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