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■平成22年労災-第7問(不服申立て及び訴訟等)

労災保険の保険給付及び特別支給金等に関する処分に対する不服申立て及び訴訟等についての次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)保険給付に関する不支給決定に不服のある被災者や遺族は、審査請求をした日から1か月を経過しても労働者災害補償保険審査官の決定がないときは、当該審査請求に係る処分について決定を経ないで労働保険審査会に対し再審査請求をすることができる。

(B)「事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故」について保険給付を行ったときに該当するとして、政府からその保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を徴収する処分を受けた事業主は、当該処分に不服がある場合でも異議申立てをすることはできない。

(C)保険給付に関する不支給決定に不服のある被災者や遺族が、労働者災害補償保険審査官に対して行う審査請求は、保険給付を受ける権利について時効中断の効力を生じる。

(D)特別支給金に関する決定は、保険給付に関する決定があった場合に行われるものであり、当該特別支給金に関する決定に不服がある被災者や遺族は、労働者災害補償保険審査官に審査請求をすることができる。

(E)保険給付に関する不支給決定についての審査請求に係る労働者災害補償保険審査官の決定に対して不服のある被災者や遺族は、どのような場合にも、労働保険審査会に対し再審査請求すると同時に、処分の取消しの訴えを提起することができる。



■解説

(A)誤り
法38条2項
保険給付に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができることになっているが、審査請求をした日から3か月を経過しても審査請求についての決定がないときは、当該審査請求に係る処分について、決定を経ないで、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
よって、「審査請求をした日から1か月」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法41条、徴収法37条
政府は、事業主が故意又は重大な過失により生じさせた業務災害の原因である事故等について保険給付を行ったときは、厚生労働省令で定めるところにより、業務災害に関する保険給付にあっては労働基準法 の規定による災害補償の価額の限度又は船員法の規定による災害補償のうち労働基準法の規定による災害補償に相当する災害補償の価額の限度で、通勤災害に関する保険給付にあっては通勤災害を業務災害とみなした場合に支給されるべき業務災害に関する保険給付に相当する労働基準法の規定による災害補償の価額の限度で、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができることになっているが、この政府の処分に不服がある事業主は、処分庁である都道府県労働局長に対して異議申し立てをすることができる。
よって、「当該処分に不服がある場合でも異議申立てをすることはできない」とした問題文は誤りとなる。
なお、異議申立てに関する処分に不服がある場合は、厚生労働大臣に対して審査請求をすることができる。

(C)正解
法38条3項
労働者災害補償保険審査官に対する審査請求及び労働保険審査会に対する再審査請求は、時効の中断に関しては、これを裁判上の請求とみなすこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法38条1項
特別支給金は、社会復帰促進等事業のうち被災労働者等援護事業として行われるため、保険給付でなく、その決定に不服がある場合であっても、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求することはできない。
よって、「労働者災害補償保険審査官に審査請求をすることができる」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法40条
処分の取消しの訴えは、原則として、当該処分についての再審査請求に対する労働保険審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができないことになっているが、次の場合には、労働保険審査会の裁決を経ることなく処分取消しの訴えを提起することが認められている。
(1)再審査請求がされた日から3か月を経過しても裁決がないとき
(2)再審査請求についての裁決を経ることにより生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるときその他その裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき
よって、「どのような場合にも、労働保険審査会に対し再審査請求すると同時に、処分の取消しの訴えを提起することができる」とした問題文は誤りとなる。

  

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