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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成24年労災-第3問(業務災害の保険給付)
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■平成24年労災-第3問(業務災害の保険給付)

業務災害の保険給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)療養補償給付は、休業補償給付と併給される場合がある。

(B)休業補償給付は、傷病補償年金と併給される場合がある。

(C)療養補償給付は、傷病補償年金と併給される場合がある。

(D)労働者が老人福祉法の規定による特別養護老人ホームに入所している間については、介護補償給付は支給されない。

(E)労働者が留置施設に留置されて懲役、禁錮又は拘留の刑の執行を受けている場合、休業補償給付は支給されない。



■解説

(A)正解
法12条の8、法13条、法14条
療養補償給付は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合に支給を受けることができ、休業補償給付は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、その療養のために労働することができないために賃金を受けない場合に支給を受けることができるものであるため、それぞれの要件を満たせば併給される。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法18条2項
傷病補償年金を受けることとなった者(傷病補償年金の支給決定を受けた者に限らず、傷病補償年金の支給要件を満たすことになった者をいう。)については、休業補償給付の支給要件を満たす場合であっても、休業補償給付は支給されない。
よって、「併給される場合がある」とした問題文は誤りとなる。
なお、年金の支給は支給事由の生じた月の翌月から始め、支給を受ける権利が消滅した月で終わるので、傷病補償年金の支給事由が生じた場合には、その支給事由の生じた月の末日まで引き続き休業補償給付は行わる。また、傷病は治癒しないが、その傷病による障害の程度が傷病等級に掲げる障害の程度に該当しなくなったため傷病補償年金の受給権を失った労働者に対しては、その受給権を失った月の翌月から、必要に応じ休業補償給付が行われる。

(C)正解
法12条の8、法13条、法18条
療養補償給付は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合に支給を受けることができ、傷病補償年金は、業務上の負傷又は疾病による療養を開始したのち1年6か月を経過した日において、又はその日以後の日において当該負傷又は疾病が治ってないこと及び当該負傷又は疾病による障害の程度が傷病等級に該当している場合に支給を受けることができるものであるため、傷病補償年金の受給者に対しても療養補償給付は引き続き行われることになる。
よって、問題文は正解となる。
なお、傷病補償年金を受けるに至った段階で、「療養補償給付たる療養の給付を受ける指定病院等届」を療養の給付を受ける指定病院等を経由して所轄労働基準監督署長に提出する必要がある。(則12条の3)

(D)正解
法12条の8、則18条の3の3
介護補償給付については、障害者支援施設等(生活介護を受けている場合に限る)に入所している間、病院又は診療所に入院している間は支給しないこととされている。
これは、1.当該施設において十分な介護サービスが提供されることから被災労働者は親族等から介護を受ける必要がなく、2.当該介護サービスに相当する費用が徴収されていないため、当該施設に入居している被災労働者については、そもそも介護補償給付を支給する必要がないからである。
よって、問題文は正解となる。

(参考)
次の施設に入所している間は、介護(補償)給付が支給されない
1.障害者支援施設(生活介護を受けている場合に限る)
2.病院又は診療所
3.特別養護老人ホーム
4.原子爆弾被爆者特別養護ホーム
5.厚生労働大臣が定める施設

(E)正解
法14条の2、則12条の4
労働者が刑事施設等に拘禁・収容された場合には、仮に業務上の事由による負傷又は疾病の療養という事情がなかったとしても、そもそも身体の自由を拘束されており、労働して賃金を得ることができない状態に置かれている。このような場合についても、休業補償給付を支給することは、労働者が業務上の事由による負傷又は疾病の療養のため労働不能である場合について給付を行う休業補償給付の制度本来の趣旨にそぐわないとろである。このように労働者本人の犯罪行為の帰結としての監獄への拘禁等の一種の「自招行為」の結果としての労働不能についてまで事業主の費用負担により給付を行うことは妥当ではなく、さらに健康保険法、船員保険法等においては類似の場合に保険給付を支給しないこととする取扱いがなされていることも考慮し、労働者が(1)刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されている場合、(2)留置施設に留置されて懲役、禁錮若しくは拘留の刑の執行を受けている場合、(3)少年院その他これに準ずる施設に収容されている場合であって厚生労働省令で定める場合には、休業補償給付は行わないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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