社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成26年労災-第2問(労災保険法の適用)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成26年労災-第2問(労災保険法の適用)

労災保険法の適用に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

(ア)共同企業体によって行われる建設事業において、その全構成員が各々資金、人員、機械等を拠出して、共同計算により工事を施工する共同施工方式がとられている場合、保険関係は、共同企業体が行う事業の全体を一の事業とし、その代表者を事業主として成立する。

(イ)ある事業に雇用される労働者が、その雇用関係を存続したまま、他の事業の業務に従事する、いわゆる出向の場合における当該労働者に係る保険関係が出向元事業と出向先事業とのいずれにあるかは、出向の目的及び出向元事業主と出向先事業主とが当該出向労働者の出向につき行った契約並びに出向先事業における出向労働者の労働の実態等に基づき、当該労働者の労働関係の所在を判断して、決定する。

(ウ)日本に本社を有する企業であれば、その海外支店に直接採用された者についても、所轄都道府県労働局長に特別加入の申請をして承認を受けることによって、労災保険法が適用される。

(エ)2以上の労災保険適用事業に使用される労働者は、それぞれの事業における労働時間数に関係なくそれぞれの事業において、労災保険法の適用がある。

(オ)労災保険は、労働者の業務又は通勤による災害に対して保険給付を行う制度であるが、業務の実態、災害の発生状況等に照らし、実質的に労働基準法適用労働者に準じて保護するにふさわしい者に対し、労災保険の適用を及ぼそうとする趣旨から、中小事業主等に特別加入の制度を設けている。

(A)一つ

(B)二つ

(C)三つ

(D)四つ

(E)五つ

■解説

(ア)正解
法3条、昭和41年2月15日基災発8号
共同企業体によって行われる建設事業において、全構成員が各々資金、人員、機械等を拠出して、共同計算により工事を施工する共同工方式がとられている場合の保険関係の成立は、共同企業体が行う事業の全体を一の事業とし、その代表者を事業主として保険関係を成立させることとされている。その場合において、概算保険料の報告の際には、共同企業体の施工する建設工事の内容、組織、構成員等を明らかにした共同企業体協定書(各構成員の出資の割合を定めた協定書を含む。)の写し、共同企業体の運営方法等に関する運営委員会規程などを提出しなければならない。
よって、問題文は正解となる。
なお、各構成員が工事をあらかじめ分割し、各々分担工事について責任をもって施工し、共通経費は拠出するが、損益については共同計算を行わない分担施工方式がとられている場合の保険関係の成立は、共同企業体協定書に基づいてあらかじめ分担されている工事部分をそれぞれ独立の事業とし、共同企業体の各構成員をそれぞれ事業主として労災保険関係を成立させることとされている。

(イ)正解
法3条、昭和35年11月2日基発932号
在籍型出向の出向労働者の保険関係の所在については、出向の目的及び出向元事業主と出向先事業主とが当該出向労働者の出向につき行った契約ならびに出向先事業における出向労働者の労働の実態等に基づき、当該労働者の労働関係の所在を判断して決定される。
その場合において、出向労働者が、出向先事業の組織に組み入れられ、出向先事業場の他の労働者と同様の立場(ただし、身分関係及び賃金関係を除く。)で、出向先事業主の指揮監督を受けて労働に従事している場合には、たとえ、当該出向労働者が、出向元事業主と出向先事業主とが行なった契約等により、出向元事業主から賃金名目の金銭給付を受けている場合であっても、出向先事業主が、当該金銭給付を出向先事業の支払う賃金として賃金総額に含め、保険料を納付する旨を申し出た場合には当該金銭給付を出向先事業から受ける賃金とみなし、当該出向労働者を出向先事業に係る保険関係によるものとして取り扱うこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(ウ)誤り
法33条、昭和52年3月30日基発192号・発労徴21号
日本国内で行われる事業(有期事業を除く。)から派遣されて海外支店、工場、現場、現地法人、海外の提携先企業等海外で行われる事業に従事する労働者は、特別加入することができる。
海外派遣者として特別加入できるのは、新たに派遣される者に限られず、既に海外の事業に派遣されている者を特別加入させることも可能であるが、現地採用者は、海外派遣者特別加入制度の趣旨及びその加入の要件からみて、特別加入の資格がないものとされている。
よって、「労災保険法が適用される。」とした問題文は誤りとなる。

(エ)正解
法3条1項、労基法9条
労災法3条1項は、「労働者を使用する事業を適用事業とする。」と規定しており、この「使用する」は労基法等における「使用する」と同様、労働契約関係にあるという意味に解されている。
したがって、2以上の労災保険適用事業に使用される労働者は、それぞれの事業における労働時間数に関係なく労災保険法が適用されることになる。
よって、問題文は正解となる。

(オ)正解
法33条、昭和40年11月1日基発1454号
労災保険は、労働者の業務災害に対する補償を本来の目的としているが、業務の実情、災害の発生状況等に照らし、実質的に労働基準法適用労働者に準じて保護するにふさわしい者に対し、労災保険の適用を及ぼそうとするものが特別加入制度の趣旨である。
よって、問題文は正解となる。

※誤っているものは、(ウ)であるため、(A)が正解となる。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(労災保険法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved