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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成26年労災-第4問(社会復帰促進等事業)
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■平成26年労災-第4問(社会復帰促進等事業)

労災保険法第29条に定める社会復帰促進等事業に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)政府が行うことができる社会復帰促進等事業には、賃金の支払の確保を図るために必要な事業が含まれる。

(B)政府が行うことができる社会復帰促進等事業には、健康診断に関する施設の運営を図るために必要な事業が含まれる。

(C)政府が行うことができる社会復帰促進等事業には、業務災害の防止に関する活動に対する援助を図るために必要な事業が含まれる。

(D)政府が行うことができる社会復帰促進等事業には、被災労働者の遺族の就学の援護を図るために必要な事業が含まれる。

(E)政府が行うことができる社会復帰促進等事業には、葬祭料の支給を図るために必要な事業が含まれる。



■解説

(A)正解
法29条1項
賃金不払いに対しては、労基法違反として罰則が適用されるという面からその支払が間接的に強制されるところであるが、倒産等により事業主に支払能力がない場合、労働者にとって実質的な救済は望み難い。そこでこのような場合の具体的救済措置として、「賃金の支払の確保等に関する法律」により、企業の倒産のため事業主から賃金を支払われない労働者に対して未払賃金の一定範囲のものを国が事業主に代わって立替払する「未払賃金の立替払事業」が労災保険の社会復帰促進等事業の一環として行われている。
よって、問題文は正解となる。
なお、この事業は、業務災害に関する給付の事業とは直接の関係はないが、使用者責任の履行の確保という面で業務災害に関する給付の事業と共通性を有するものなので、社会復帰促進等事業として行われている。

(B)正解
法29条1項
健康診断に関する施設の設置及び運営は社会復帰促進等事業の一環として行われている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法29条1項
業務災害の防止に関する活動に対する援助を図るための事業は社会復帰促進等事業の一環として行われている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法29条1項
業務上の事由又は通勤による死亡労働者の遺族や重度障害者の子弟のなかには、進学をあきらめ、学業を中途で放棄せざるを得ないものが少なくないことから、これらの者の就学を援護するための労災就学援護費の支給制度が社会復帰促進等事業の一環として行われている。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法29条1項
労災保険の社会復帰促進等事業の一環である被災労働者等援護事業として特別支給金の支給が行われているが、療養(補償)給付、葬祭料・葬祭給付、介護(補償)給付、二次健康診断等給付に関連する特別支給金は設けられていない。
よって、問題文は誤りとなる。

(参考)
特別支給金の種類
保険給付 一般特別支給金 ボーナス特別支給金
休業(補償)給付 休業特別支給金 なし
傷病(補償)年金 傷病特別支給金 傷病特別年金
障害(補償)年金 障害特別支給金 障害特別年金
障害(補償)一時金 障害特別支給金 障害特別一時金
障害(補償)年金差額一時金 なし 障害特別年金差額一時金
遺族(補償)年金 遺族特別支給金 遺族特別年金
遺族(補償)一時金 遺族特別支給金 遺族特別一時金

(参考)
社会復帰促進等事業

政府は、この保険の適用事業に係る労働者及びその遺族について、社会復帰促進等事業として、次の事業を行うことができる。
(1)療養に関する施設及びリハビリテーションに関する施設の設置及び運営その他業務災害及び通勤災害を被った労働者(被災労働者)の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業
(2)被災労働者の療養生活の援護、被災労働者の受ける介護の援護、その遺族の就学の援護、被災労働者及びその遺族が必要とする資金の貸付けによる援護その他被災労働者及びその遺族の援護を図るために必要な事業
(3)業務災害の防止に関する活動に対する援助、健康診断に関する施設の設置及び運営その他労働者の安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに賃金の支払の確保を図るために必要な事業

  

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