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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成27年労災-第4問(事業主に対する費用徴収)
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■平成27年労災-第4問(事業主に対する費用徴収)

労災保険の適用があるにもかかわらず、労働保険徴収法第4条の2第1項に規定する労災保険に係る保険関係成立届(以下、本問において「保険関係成立届」という。)の提出を行わない事業主に対する費用徴収のための故意又は重大な過失の認定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、本問の「保険手続に関する指導」とは、所轄都道府県労働局、所轄労働基準監督署又は所轄公共職業安定所の職員が、保険関係成立届の提出を行わない事業主の事業場を訪問し又は当該事業場の事業主等を呼び出す方法等により、保険関係成立届の提出ほか所定の手続をとるよう直接行う指導をいう。また、「加入勧奨」とは、厚生労働省労働基準局長の委託する労働保険適用促進業務を行う一般社団法人全国労働保険事務組合連合会の支部である都道府県労働保険事務組合連合会(以下「都道府県労保連」という。)又は同業務を行う都道府県労保連の会員である労働保険事務組合が、保険関係成立届の提出ほか所定の手続について行う勧奨をいう。


(A)事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導を受けたにもかかわらず、その後10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合、「故意」と認定した上で、原則、費用徴収率を100%とする。

(B)事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、加入勧奨を受けたにもかかわらず、その後10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合、「故意」と認定した上で、原則、費用徴収率を100%とする。

(C)事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導又は加入勧奨を受けておらず、労働保険徴収法第3条に規定する保険関係が成立した日から1年を経過してなお保険関係成立届を提出していなかった場合、原則、「重大な過失」と認定した上で、費用徴収率を40%とする。

(D)事業主が、保険手続に関する指導又は加入勧奨を受けておらず、かつ、事業主が、その雇用する労働者について、取締役の地位にある等労働者性の判断が容易でないといったやむを得ない事情のために、労働者に該当しないと誤認し、労働保険徴収法第3条に規定する保険関係が成立した日から1年を経過してなお保険関係成立届を提出していなかった場合、その事業において、当該保険関係成立日から1年を経過した後に生じた事故については、労災保険法第31条第1項第1号の「重大な過失」と認定しない。

(E)事業主が、労災保険法第31条第1項第1号の事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導又は加入勧奨を受けておらず、かつ、事業主が、本来独立した事業として取り扱うべき出張所等について、独立した事業には該当しないと誤認したために、当該事業の保険関係について直近上位の事業等他の事業に包括して手続をとり、独立した事業としては、労働保険徴収法第3条に規定する保険関係が成立した日から1年を経過してなお保険関係成立届を提出していなかった場合、「重大な過失」と認定した上で、原則、費用徴収率を40%とする。



■解説

(A)正解
法31条、平成17年9月22日基発922001号
事業主が、当該事故に係る事業に関し、所轄都道府県労働局、所轄労働基準監督署又は所轄公共職業安定所から、保険関係成立届の提出ほか所定の手続をとるよう指導(未手続事業場を訪問し又は当該事業場の事業主等を呼び出す方法等により職員が直接指導するものに限る。(保険手続に関する指導))を受けたにもかかわらず、10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合は、「故意」と認定した上で、原則、費用徴収率(徴収金の額を算定するに当たり保険給付の額に乗じる率)を100%とすることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法31条、平成17年9月22日基発922001号
事業主が、当該事故に係る事業に関し、厚生労働省労働基準局長の委託する労働保険適用促進業務を行う一般社団法人全国労働保険事務組合連合会の支部である都道府県労働保険事務組合連合会又は同業務を行う都道府県労保連の会員である労働保険事務組合から、保険関係成立届の提出ほか所定の手続をとるよう勧奨(加入勧奨)を受けたにもかかわらず、10日以内に保険関係成立届を提出していなかった場合は、「故意」と認定した上で、原則、費用徴収率(徴収金の額を算定するに当たり保険給付の額に乗じる率)を100%とすることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法31条、平成17年9月22日基発922001号
事業主が、当該事故に係る事業に関し、保険手続に関する指導又は加入勧奨を受けていない場合で、かつ、保険関係成立日から1年を経過してなお保険関係成立届を提出していないときは、原則、「重大な過失」と認定した上で、費用徴収の対象とすることとされており、この場合の費用徴収率(徴収金の額を算定するに当たり保険給付の額に乗じる率)を40%とすることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法31条、平成17年9月22日基発922001号
保険関係成立届の提出について行政機関からの指導等を受けたことがない事業主であって、保険関係成立日以降1年を経過してなおその提出を行っていないものについて、原則、「重大な過失」と認定した上で、費用徴収の対象とすることとされているが、事業主が、その雇用する労働者について、労働者に該当しないと誤認したために保険関係成立届を提出していなかった場合(当該労働者が取締役の地位にある等労働者性の判断が容易でなく、事業主が誤認したことについてやむを得ない事情が認められる場合に限る。)については「重大な過失」があったと認定しないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法31条、平成17年9月22日基発922001号
保険関係成立届の提出について行政機関からの指導等を受けたことがない事業主であって、保険関係成立日以降1年を経過してなおその提出を行っていないものについて、原則、「重大な過失」と認定した上で、費用徴収の対象とすることとされているが、事業主が、本来独立した事業として取り扱うべき出張所等について、独立した事業には該当しないと誤認したために、当該事業の保険関係について直近上位の事業等他の事業に包括して手続をとっている場合については「重大な過失」があったと認定しないこととされている。
よって、「重大な過失と認定した上で、原則、費用徴収率を40%とする。」とした問題文は誤りとなる。

  

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