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トップページ過去問研究室(労災保険法) 平成29年労災-第2問(傷病補償年金)
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■平成29年労災-第2問(傷病補償年金)

傷病補償年金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)所轄労働基準監督署長は、業務上の事由により負傷し、又は疾病にかかった労働者が療養開始後1年6か月経過した日において治っていないときは、同日以降1か月以内に、当該労働者から「傷病の状態等に関する届」に医師又は歯科医師の診断書等の傷病の状態の立証に関し必要な資料を添えて提出させるものとしている。

(B)傷病補償年金の支給要件について、障害の程度は、6か月以上の期間にわたって存する障害の状態により認定するものとされている。

(C)傷病補償年金の受給者の障害の程度が軽くなり、厚生労働省令で定める傷病等級に該当しなくなった場合には、当該傷病補償年金の受給権は消滅するが、なお療養のため労働できず、賃金を受けられない場合には、労働者は休業補償給付を請求することができる。

(D)傷病補償年金を受ける労働者の障害の程度に変更があり、新たに他の傷病等級に該当するに至った場合には、所轄労働基準監督署長は、裁量により、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給する決定ができる。

(E)業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合には、労働基準法第19条第1項の規定の適用については、当該使用者は、当該3年を経過した日において同法第81条の規定による打切補償を支払ったものとみなされる。



■解説

(A)正解
則18条の2の2
所轄労働基準監督署長は、業務上の事由により負傷し、又は疾病にかかった労働者の当該負傷又は疾病が療養の開始後1年6箇月を経過した日において治っていないときは、同日以後1箇月以内に、当該労働者から次に掲げる事項を記載した届書を提出させるものとされている。
1.労働者の氏名、生年月日、住所及び個人番号
2.傷病の名称、部位及び状態
3.負傷又は発病の日における厚生年金保険等の被保険者資格の有無
4.同一の事由により厚生年金保険の障害厚生年金等が支給される場合にあっては、その年金の種類及び支給額並びにその年金が支給されることとなった年月日
5.傷病補償年金を受けることとなる場合において当該傷病補償年金の払渡しを受けることを希望する金融機関の名称及び当該払渡しに係る預金通帳の記号番号又は当該傷病補償年金の払渡しを受けることを希望する郵便貯金銀行の営業所若しくは郵便局の名称
なお、当該届書には、届書を提出するときにおける傷病の状態の立証に関し必要な医師又は歯科医師の診断書その他の資料を添えなければならないこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
則18条2項
傷病等級の特殊性と傷病等級が長期的に支給される年金給付の主要な支給要件であることを考慮して、その障害の程度は、6箇月以上の期間にわたって存する障害の状態により認定するものとされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法12条の8第3項、法14条1項、則13条1項、昭和52年3月30日基発192号
傷病補償年金の支給事由が生じた場合には、その支給事由の生じた月の末日まで引き続き休業補償給付を行うものとする。また、傷病は治ゆしないが、その傷病による廃疾の程度が廃疾等級表に掲げる廃疾の程度に該当しなくなったため傷病補償年金の受給権を失った労働者に対しては、その受給権を失った月の翌月から、必要に応じ休業補償給付を行うものとされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法18条の2、則18条の3
傷病補償年金を受給している労働者の障害の程度に変更があって他の傷病等級に該当することとなった場合には、所轄労働基準監督署長は、従来の傷病等級に応ずる傷病補償年金を新たに該当するに至った傷病等級に応じた傷病補償年金に変更する決定をしなければならないことになっている。
よって、「裁量により、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給する決定ができる。」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法19条
傷病補償年金は、療養の開始後1年6箇月を経過した時点から支給が可能であるが、労働基準法の打切補償が療養開始後3年を経過した後でなければ行えないこととなっているのを考慮して、(1)業務上負傷し又は疾病にかかった労働者が療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合にはその日において、(2)業務上負傷し又は疾病にかかった労働者が療養の開始後3年を経過した日以後に傷病補償年金を受けることとなった場合にはその受けることとなった日において、使用者は労働基準法第81条の規定による打切補償を支払ったものとみなされ、当該労働者について労働基準法第19条の規定によって課された解雇制限は解除されることになっている。
よって、問題文は正解となる。

  

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