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トップページ過去問研究室(労働安全衛生法) 平成24年労基-第9問(労働安全衛生法の安全衛生管理体制)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成24年労基-第9問(労働安全衛生法の安全衛生管理体制)

労働安全衛生法の安全衛生管理体制に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)常時120人の労働者を使用する清掃業の事業場の事業者は、総括安全衛生管理者を選任する義務があるが、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者であれば、他に資格等を有していない場合であっても、その者を総括安全衛生管理者に選任し、当該事業場の労働災害を防止するため必要な業務を統括管理させることができる。

(B)常時70人の労働者を使用する建設業の事業場の事業者は、安全管理者を選任する義務があるが、高等学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業し、その後5年間産業安全の実務に従事した経験を有する当該事業場の労働者で厚生労働大臣が定める安全に係る技術的事項を管理するのに必要な知識についての研修を修了したものであれば、他に資格等を有していない場合であっても、その者を安全管理者に選任し、当該事業場の安全に係る技術的事項を管理させることができる。

(C)常時60人の労働者を使用する製造業の事業場の事業者は、衛生管理者を選任する義務があるが、第二種衛生管理者免許を有する当該事業場の労働者であれば、他に資格等を有していない場合であっても、その者を衛生管理者に選任し、当該事業場の衛生に係る技術的事項を管理させることができる。

(D)常時30人の労働者を使用する運送業の事業場の事業者は、安全衛生推進者を選任する義務があるが、安全衛生推進者養成講習を修了した当該事業場の労働者であれば、他に資格等を有していない場合であっても、その者を安全衛生推進者に選任し、当該事業場の労働災害を防止するため必要な業務を担当させることができる。

(E)常時50人の労働者を使用する自動車整備業の事業場の事業者は、産業医を選任する義務があるが、厚生労働大臣の指定する者が行う労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修を修了した医師であれば、他に資格等を有していない場合であっても、その者を産業医に選任し、当該事業場の労働者の健康管理等を行わせることができる。



■解説

(A)正解
法10条、令2条
常時100人以上の労働者を使用する清掃業の事業者は総括安全衛生管理者を選任しなければならない。
そして、総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならないことになっているが、資格要件などは必要とされていない。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法11条1項、令3条、則5条
常時50人以上の労働者を使用する建設業の事業者は、安全管理者を選任しなければならない。
そして、安全管理者の資格要件は次のとおり定められている。

1.次のいずれかに該当する者で、総括安全衛生管理者が統括管理すべき業務のうち安全に係る技術的事項を管理するのに必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了したもの

(1)大学又は高等専門学校における理科系統の正規の課程を修めた者(独立行政法人大学評価・学位授与機構により学士の学位を授与された者(当該課程を修めた者に限る。)又はこれと同等以上の学力を有すると認められる者を含む。)で、その後2年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの
(2)高等学校又は中等教育学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業した者で、その後4年以上産業安全の実務に従事した経験を有するもの

2.労働安全コンサルタント
3.その他厚生労働大臣が定める者

よって、「高等学校において理科系統の正規の学科を修めて卒業し、その後5年間産業安全の実務に従事した経験を有する当該事業場の労働者で厚生労働大臣が定める安全に係る技術的事項を管理するのに必要な知識についての研修を修了したもの」は資格要件を満たすことになり、他の資格等を有していない場合であっても安全管理者に選任することができるため、問題文は正解となる。

(C)誤り
法12条1項、令4条、則7条
事業者は、業種を問わず常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに衛生管理者を選任しなければならないことになっているが、衛生管理者は次のいずれかの資格を有するものから選任する必要がある。

1.都道府県労働局長の免許を受けた者
(1)第1種衛生管理者免許
(2)第2種衛生管理者免許
(3)衛生工学衛生管理者免許
2.医師
3.歯科医師
4.労働衛生コンサルタント
5.その他厚生労働大臣の定める者

しかしながら、都道府県労働局長の免許を受けた者を受けた者のうち第2種衛生管理者免許保持者については、一定の屋外・工業的業種以外の業種にて選任できることになっており、製造業においては第2種衛生管理者免許保持者を選任することができない。
よって、問題文は誤りとなる。

(D)正解
法12条の2、則12条の2
運送業の事業場(安全管理者を選任すべき事業場)で常時10人以上50人未満の労働者を使用する場合には安全衛生推進者の選任義務がある。(安全管理者を選任すべき事業場以外で常時10人以上50人未満の労働者を使用する場合は衛生推進者を選任)
そして、安全衛生推進者は、都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した当該事業場に専属の者であれば、他の資格等を有していない場合でも選任することが可能である。
よって、問題文は正解となる。
なお、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントその他厚生労働大臣が定める者のうちから選任するときは、その事業場に専属の者でなくてもよいことになっている。

(E)正解
法13条、則14条2項
事業者は、業種を問わず常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに産業医を選任しなければならないことになっているが、産業医は労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について次の要件を備えた医師である必要がある。
1.労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であって厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者
2.産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であって厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であって、その大学が行う実習を履修したもの
3.労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
4.学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務する者に限る。)の職にあり、又はあった者
5.その他厚生労働大臣が定める者

よって、問題文は正解となる。

(参考)
■総括安全衛生管理者
総括安全衛生管理者を選任すべき事業場は、次の業種区分に応じ、常時当該各号に掲げる数以上の労働者を使用する事業場とされている。
業種区分 常時使用する労働者数
林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業 100人
製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 300人
その他の業種 1,000人

■安全管理者
安全管理者を選任すべき事業場は、次の業種区分に応じ、常時50人以上の労働者を使用する事業場とされている。
業種区分
林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業
製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業


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