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トップページ過去問研究室(雇用保険法) 平成14年雇用-第3問(特定受給資格者)
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■平成14年雇用-第3問(特定受給資格者)

特定受給資格者に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)事業所が遠隔地に移転し、自宅から往復5時間もかかることになったため、通勤は困難であるとして退職届を提出して離職した者は、特定受給資格者となる。

(B)就業規則の定める60歳の定年年齢に達したことにより退職した者は、特定受給資格者に当たらない。

(C)女性労働者が同僚から職場環境が著しく害されるような性的言動を受け、事業主に苦情を申し立てたが改善されなかったため退職届を提出して離職した場合、特定受給資格者となる。

(D)賃金(退職手当を除く。)の額の3割が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2か月以上となったため退職した者は、特定受給資格者となる。

(E)特定受給資格者であっても、公共職業安定所の紹介する職業に就くことを正当な理由なく拒んだときは給付制限の対象となり、その拒んだ日から起算して1か月間(その者が訓練延長給付、広域延長給付又は全国延長給付を受けている場合においては、その拒んだ日以後)は、当該受給資格に基づく基本手当は支給されない。



■解説

(A)正解
法23条2項1号、則34条4号、特定受給資格者の判断
通勤困難(通常の方法により通勤するための往復所要時間が概ね4時間以上であるとき等)など、適用事業所の移転について事業主より通知され(事業所移転の1年前以降の通知に限る。)、事業所移転直後(概ね3か月以内)までに離職した場合は、事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者となり、特定受給資格者となる。

(B)正解
法23条2項、則34条、則35条
定年年齢に達したことにより退職した者は、倒産、解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた者に該当せず、特定受給資格者に当たらない。

(C)正解
法23条2項2号、則35条8号、特定受給資格者の判断
事業主が男女雇用機会均等法第21条に規定する職場におけるセクシュアル・ハラスメント(以下「セクハラ」という。)の事実を把握していながら、雇用管理上の措置を講じなかった場合に離職した場合は、特定受給資格者となる。
なお、この基準は、当該労働者が事業主(又は人事担当者)、雇用均等室等の公的機関にセクハラの相談を行っていたにもかかわらず、一定期間(概ね1か月)経過後においても、事業主が雇用継続を図る上での必要な改善措置を講じなかったため離職した場合が該当する。
その他、事業主が直接の当事者であり離職した場合や対価型セクハラに該当するような配置転換、降格、減給等の事実があり離職した場合にも該当するとされている。
ただし、視覚型セクハラ(事業所にヌードポスター等を掲示し、女性従業員が苦痛に感じて業務に専念できないこと)については、例えば「隣の席の上司が、自分ひとりに繰り返し卑わいな写真を見せて反応を見て喜んでおり、同僚に相談しても信じてもらえない」ような特定の労働者を対象とするものを除き、それにより離職を決意するに至るとは通常考えられないことから、原則として、この基準には該当しないとされている。

(D)誤り
法23条2項2号、則35条3号
賃金(退職手当を除く。)の額を3で除して得た額を上回る額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2か月以上となったことにより退職した者は、特定受給資格者となる。
よって、「賃金(退職手当を除く。)の額の3割」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法29条、法32条1項
受給資格者が、正当な理由等がないのに、公共職業安定所の紹介する職業に就くこと又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けることを拒んだときは、その拒んだ日から起算して1か月間は、基本手当を支給しないことになっている。
また、訓練延長給付(訓練終了後の延長手当に限る)、広域延長給付又は全国延長給付を受けている受給資格者が、正当な理由がなく、公共職業安定所の紹介する職業に就くこと、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けること又は厚生労働大臣の定める基準に従って公共職業安定所が行うその者の再就職を促進するために必要な職業指導を受けることを拒んだときは、その拒んだ日以後基本手当を支給しないことになっている。
なお、訓練延長給付(訓練終了後の延長手当を除く)については、通常の基本手当と同様(1か月間の給付制限)であるため、単に「訓練延長給付」としか記載していない問題文は誤りとなる。

※社会保険労務士試験センターの発表で「D及びE」が正解とされた。

  

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