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トップページ過去問研究室(雇用保険法) 平成17年雇用-第3問(特定受給資格者)
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■平成17年雇用-第3問(特定受給資格者)

特定受給資格者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、その者について、他の受給資格要件は満たされているものとする。


(A)過去1年間に、事業活動の縮小に伴って、当該事業所で雇用される被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働保険被保険者を除く。)の半数以上が解雇や退職勧奨により離職したため、会社の将来を悲観して自ら退職した者は、特定受給資格者に該当する。

(B)自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された者は、原則として特定受給資格者とならないが、公共職業安定所長による宥恕が行われた場合には、特定受給資格者となりうる。

(C)事業所の業務が法令に違反したために離職した者は、事業主が行政機関から違反状態の是正を命じられたにもかかわらず合理的期間内にこれに従わなかった事実が認められる場合にのみ、特定受給資格者となる。

(D)期間6か月の労働契約を5回更新し、合計3年間継続勤務してきた者については、労働者が6回目の更新を希望せず、期間の満了によって雇用が終了した場合であっても、特定受給資格者となる。

(E)過去1年間に「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」が定める労働時間の延長の限度(年360時間)を超える時間外労働が行われたことを理由として離職した者は、離職の直前の3か月間の時間外労働の時間数の多寡に関わりなく、特定受給資格者となる。



■解説

(A)正解
法23条2項1項、則34条2号、特定受給資格者の判断基準
事業規模若しくは事業活動の縮小又は事業の転換等に伴い、当該事業主に雇用される雇用保険被保険者のうちの相当数の人員整理(事業主都合による解雇や勧奨退職、希望退職応募等により離職した者が、当該離職者の離職日の1年前の日(1年前より後に人員整理が開始された場合は当該人員整理開始日)と比較し、適用事業所の3分の1を超えることとなる場合)が既に行われたために離職した場合は、特定受給資格者に該当する。
問題文の場合は、「当該事業所で雇用される被保険者の半数以上(要件である3分の1を超えている)が解雇や退職勧奨により離職したため、会社の将来を悲観して自ら退職した者」となっており、特定受給資格者に該当することになる。
よって、問題文は正解である。

(B)誤り
法23条2項、則35条1号、特定受給資格者の判断基準
自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された者は特定受給資格者とはならない。
また、特定受給資格者は、離職理由が、倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた受給資格者(具体的には特定受給資格者の判断基準に該当する者)であり、その判断において、公共職業安定所長による宥恕(寛大な心で許すこと)は行われない。
よって、問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法23条2項、則35条11号、特定受給資格者の判断基準
事業所が法令違反の製品を製造し、あるいは販売する等被保険者の就職当時の事業内容と相違し、又は、その製品の製造、あるいは販売を禁止する法令が新たに公布されたにもかかわらず、従来どおりの製造、あるいは販売を継続している等、事業所の業務が法令に違反した場合であり、当該法令違反の事実を知った後、3ヶ月以内に離職した場合は特定受給資格者に該当する。
よって、「事業主が行政機関から違反状態の是正を命じられたにもかかわらず合理的期間内にこれに従わなかった事実が認められる場合にのみ、特定受給資格者となる」とした問題文は誤りである。
なお、事業所において製造する製品が品質管理上の問題があった場合等はこの基準には該当しないとされている。

(D)誤り
法23条2項、則35条7号、特定受給資格者の判断基準
期間の定めがある労働契約が更新され、雇用された時点から継続して3年以上雇用されている場合であり、かつ、労働契約の更新を労働者が希望していたにもかかわらず、契約更新がなされなかった場合に離職した場合は特定受給資格者に該当する。
よって、「労働者が6回目の更新を希望せず、期間の満了によって雇用が終了した場合」は特定受給資格者とならず、問題文は誤りとなる。
また、定年退職後の再雇用時に契約更新の上限が定められている場合などあらかじめ定められていた再雇用期限の到来に伴い離職した場合はこの基準には該当しないとされている。

(E)誤り
法23条2項、則35条5号、特定受給資格者の判断基準
「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」第3条に基づく別表第1に規定する延長時間の限度のうち1か月を単位とした延長時間の限度である45時間を超える時間外労働が離職直前の3か月間(賃金締切日を起算日とする各月)に連続して行われていたため離職した場合等は特定受給資格者に該当する。
ただし、労働時間については、有給休暇や体調不良等のやむを得ない理由により時間外労働が行われていない月がある場合には、これを除いて算定することになっている。
よって、「離職の直前の3か月間の時間外労働の時間数の多寡に関わりなく、特定受給資格者となる」とした問題文は誤りとなる。

  

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