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トップページ過去問研究室(雇用保険法) 平成19年雇用-第6問(高年齢雇用継続給付)
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■平成19年雇用-第6問(高年齢雇用継続給付)

高年齢雇用継続給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、本問の被保険者には、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を含めないものとする。


(A)高年齢雇用継続基本給付金の支給要件の判断に当たり、比較の対象となる60歳到達時の賃金は、当該被保険者を基本手当の受給資格者とみなし、かつ、その者が60歳に達した日(60歳到達時に被保険者であった期間が5年未満である場合は、5年となった日)を受給資格に係る離職の日とみなして算定される賃金日額に基づいて算定される。

(B)高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金のいずれについても、支給対象月に支払われた賃金が本人の非行又は傷病によって低下した場合には、その支払いを受けたものとみなして賃金額の計算がなされるが、事業所の休業により賃金が低下した場合には、そのような取扱いはなされない。

(C)高年齢再就職給付金は、本来の計算方法によって算定した支給対象月における支給額が、当該受給資格者に係る賃金日額の最低限度額の100分の80に相当する額に達しない場合には、当該100分の80に相当する額が支給される。

(D)高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金のいずれについても、公共職業安定所に支給申請書を提出するに当たっては、雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書を添付することが必要である。

(E)60歳に達する日より前に離職した被保険者については、当該受給資格に基づく基本手当の支給を受け、60歳に達した後に所定の日数を残して再就職し、被保険者になったとしても、高年齢再就職給付金は支給されない。



■解説

(A)正解
法61条1項
高年齢雇用継続基本給付金の支給要件に該当するか否かを判断するに当たって比較の対象となる賃金日額は、被保険者を基本手当の受給資格者とみなし、その被保険者が60歳に達した日(60歳到達時に被保険者であった期間が5年未満である場合は、5年となった日)を受給資格に係る離職の日とみなして法17条(第3項を除く)の規定を適用した場合に算定されることとなる賃金日額に相当する額であり、これを「みなし賃金日額」という。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法61条1項、則101条の3第3項
支給対象月において、次の理由により賃金の減額の対象となった日がある場合は、実際に支給された賃金額に、当該減額の対象となった日について賃金の減額が行われなかったものとみなして割戻しにより算定した賃金額を合わせたものを、当該支給対象月に支払われた賃金額とすることになっている。
(1)受給資格者の非行
(2)疾病又は負傷
(3)事業所の休業
(4)その他公共職業安定所長が定めるもの(妊娠・出産・育児、介護、労働争議行為等)
よって、「事業所の休業により賃金が低下した場合」にも「その支払いを受けたものとみなして賃金額の計算がなされる」ことになっており、「そのような取扱いはなされない」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法61条の2第3項
高年齢再就職給付金は、本来の計算方法によって算定した支給対象月における支給額が、賃金日額の最低限度額の100分の80に相当する額を超えないときは不支給となる。(高年齢雇用継続基本給付金も同様)
よって、「当該100分の80に相当する額が支給される」とした問題文は誤りとなる。
なお、このよう支給の下限額を定めているのは、賃金日額の最低限度額の100分の80を下回るような低額の給付を行う場合には、本給付が目的とするところの高齢者の雇用継続という観点から政策効果がほとんど期待し得ないこと等の理由によるものとされている。

(D)誤り
則101条の5、則101条の7
高年齢雇用継続基本給付金の支給手続を行う場合は、初回の申請時に「雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書」を添付する必要があるが、高年齢再就職給付金の支給手続を行う場合には、既に基本手当の支給に係る離職時において離職時の賃金額が把握されているため、「雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書」の提出は要しないものとされている。
よって、高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金のいずれについても申請時に「雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書」の添付を要するとした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法61条の2第1項
高年齢再就職給付金は次のすべての要件を満たしている場合に支給されることになっている。
(1)基本手当の受給資格に係る離職日に、被保険者期間が通算して5年以上あること
(2)当該受給資格に基づく基本手当の支給を受けたことがあること
(3)再就職日における基本手当の支給残日数が100日以上あること
よって、60歳到達時に被保険者でなかった者が、その直前の離職に係る受給資格に基づき基本手当の支給を受け、かつ、60歳到達時以後、当該基本手当の受給期間内にその支給残日数が100日以上の時点で新たに雇用され、一般被保険者となった場合は、高年齢再就職給付金の支給対象となる。
よって、「高年齢再就職給付金は支給されない」とした問題文は誤りである。
なお、次の場合も高年齢再就職給付金の支給対象となるので注意すること
(1)60歳到達時に離職した者が基本手当の支給を受け、当該基本手当の受給期間内に、その支給残日数が100日以上の時点で新たに雇用され、一般被保険者になった場合
(2)60歳到達時に一般被保険者であった者がその後に離職し、基本手当の支給を受け、当該基本手当ての受給期間内に、その支給残日数が100日以上の時点で新たに雇用され、一般被保険者になった場合(なお、この場合、60歳到達時から離職するまでの間に高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けていた者についても、所要の要件を満たせば高年齢再就職給付金の支給対象となる)

  

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