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トップページ過去問研究室(雇用保険法) 平成20年雇用-第2問(特定受給資格者)
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■平成20年雇用-第2問(特定受給資格者)

特定受給資格者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)特定受給資格者については待期が3日となり、当該基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日が通算して4日になった日以降は受給することができる。

(B)小学校就学前の子を養育するために勤務時間短縮の措置を受け、賃金が低下しているときに離職した特定受給資格者については、基本手当日額は、当該措置の開始前の賃金による賃金日額に基づいて算定される。

(C)勤務先の会社について破産又は会社更生の手続が開始されたことに伴い離職した者は特定受給資格者に該当するが、民事再生手続の開始に伴い離職した者は特定受給資格者に該当しない。

(D)体力の衰えにより自己都合退職した者は、いかなる場合も特定理由離職者に該当することはない。(一部改正)

(E)受給資格に係る離職の日に満62歳で、算定基礎期間が25年である特定受給資格者の場合、基本手当の所定給付日数は270日である。



■解説

(A)誤り
法21条
待期は、通算して7日とされている。
これは、特定受給資格者であるかを問わず、基本手当は、受給資格者が当該基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して7日に満たない間は支給されない。
よって、「特定受給資格者については待期が3日」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
法17条3項、昭和50年3月20日労働省告示第8号(改正平成22年4月1日厚労省告示第155号)
小学校就学の始期に達するまでの子を養育するための休業をした場合、又はその子の養育に関して勤務時間の短縮が行われた場合であって、これにより賃金が低下している期間中に特定受給資格者又は特定理由離職者として離職した者については、休業が開始される前又は勤務時間の短縮が行われる前に支払われていた賃金によって、基本手当の日額が算定されることになっている。
なお、対象家族を介護するための休業をした場合、又は対象家族の介護に関して勤務時間の短縮が行われた場合についても同様である。

(C)誤り
則34条1項
倒産(破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始、整理開始、特別清算開始の申立て、金融機関の金融取引の停止)に伴い離職した者は、特定受給資格者に該当する。
よって、「民事再生手続の開始に伴い離職した者は特定受給資格者に該当しない」とした問題は誤りとなる。

(D)誤り
則19条の2、特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準
自己都合退職の場合であっても、その離職理由が、体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等である場合は、正当な理由のある自己都合により離職した者として特定理由離職者となる場合がある。
よって、「いかなる場合も特定理由離職者に該当することはない」とした問題文は誤りとなる。

(参考)
以下の正当な理由のある自己都合により離職した者については特定理由離職者に該当する。
1.体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
2.妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
3.父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した場合
4.配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した場合
5.次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
(1)結婚に伴う住所の変更
(2)育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
(3)事業所の通勤困難な地への移転
(4)自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
(5)鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
(6)事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
(7)配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
6.その他、事業主からの退職勧奨による離職に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等

(E)誤り
法23条1項1号
受給資格に係る離職の日に満62歳で、算定基礎期間が25年である特定受給資格者の場合、基本手当の所定給付日数は240日である。
よって、「基本手当の所定給付日数は270日」とした問題文は誤りとなる。


(参考)
所定給付日数
一般の受給資格者
1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
年齢要件なし 90日 90日 90日 120日 150日

特定受給資格者及び特定理由離職者
1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日 180日
30歳以上35歳未満 90日 90日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 90日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

※基本手当の支給に関する暫定措置
特定理由離職者(正当な理由にある自己都合による離職者については、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上ないが、原則として離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あることにより受給資格を有することとなる者に限る。)であって、受給資格に係る離職の日が平成21年3月31日から平成29年3月31日までの間であるものに係る基本手当の支給については、特定受給資格者とみなして基本手当の所定給付日数の規定を適用する。

※給付日数の延長に関する暫定措置
受給資格に係る離職の日が平成26年3月31日以前である特定理由離職者(正当な理由のある自己都合により離職した者を除く)及び特定受給資格者であって次のいずれかの要件を満たす者については、所定給付日数が最大60日(算定基礎期間が20年以上で、かつ、所定給付日数が270日又は330日とされる者については30日)延長される。(この暫定措置により所定給付日数が延長された場合、その延長された日数分、受給期間も延長される。)
(1)受給資格に係る離職日において45歳未満である者又は厚生労働省令で定める基準に照らして雇用機会が不足していると認められる地域として厚生労働大臣が指定する地域内に居住する者であって公共職業安定所長が厚生労働省令で定める基準に照らして就職が困難な者であると認めた者
(2)上記(1)に掲げる者のほか、公共職業安定所長が厚生労働省令で定める基準に照らして当該受給資格者の知識、技能、職業経験その他の実情を勘案して再就職のための支援を計画的に行う必要があると認めた者

就職困難者
1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
45歳未満 150日 300日 300日 300日 300日
45歳以上65歳未満 150日 360日 360日 360日 360日
※就職困難者とは、身体障害者、知的障害者、精神障害者、保護観察に付された者、職業のあっせんに関し保護観察所長から公共職業安定所長に連絡のあった者、社会的事情により就職が著しく阻害されている者とされている。(則32条)
なお、特定受給資格者が、就職困難者に該当する場合は、就職困難者としての所定給付日数が適用される。(法23条2項)

  

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