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トップページ過去問研究室(雇用保険法) 平成21年雇用-第3問(基本手当)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成21年雇用-第3問(基本手当)

基本手当に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)受給資格者が、当該受給資格に係る離職をした事業主Aのところで雇用される3か月前まで、他の事業主Bに被保険者として雇用されていた場合、Bでの離職により基本手当又は特例一時金の受給資格を得ていたならば、現実にそれらの支給を受けていなくても、Bで被保険者であった期間は、今回の基本手当の算定基礎期間として通算されない。

(B)受給資格に係る離職日に満28歳である受給資格者の基本手当の日額は、原則として、その者について計算される賃金日額に、100分の80から100分の60までの範囲で厚生労働省令により定める率を乗じて得た金額である。

(C)雇用保険法第22条第2項の「厚生労働省令で定める理由により就職が困難なもの」に該当する受給資格者の場合、その者が当該受給資格に係る離職日において満40歳であれば、算定基礎期間の長さや離職理由にかかわらず、基本手当の所定給付日数は300日となる。

(D)受給資格者がその受給期間内に再就職して再び離職した場合に、当該再離職によって高年齢受給資格を取得したときは、前の受給資格に係る受給期間内であっても、その受給資格に係る基本手当の残日数分を受給することはできない。

(E)受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働による収入を得た場合、その収入の1日分に相当する額が賃金日額の100分の80に相当する額に達しなければ、当該収入の基礎になった日数分の基本手当の支給に当たり、支給額は減額されない。



■解説

(A)誤り
法22条3項
所定給付日数を決定する上で必要な被保険者であった期間(算定基礎期間)は、同一の事業主の適用事業に継続して雇用された期間のみに限られず、被保険者資格を喪失した日の翌日から起算して1年以内に被保険者資格を再取得した場合は、その前後の被保険者として雇用された期間を通算するものである。
ただし、基本手当又は特例一時金の支給を受けたことがある場合には、これらの給付の受給資格又は特例受給資格に係る離職の日以前の被保険者であった期間については通算の対象とならない。
本問の場合、事業主Bでの離職により得た受給資格又は特例受給資格により、現実の基本手当又は特例一時金の支給を受けていないためBで被保険者であった期間は、今回の基本手当の算定基礎期間に通算されることになる。
よって、「Bで被保険者であった期間は、今回の基本手当の算定基礎期間として通算されない」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法16条1項
基本手当の日額は、その者について計算される賃金日額に、100分の80から100分の50(離職日に60歳以上65歳未満である受給資格者については、100分の80から100分の45)までの範囲で厚生労働省令により定める率を乗じて得た金額である。
よって、「100分の80から100分の60まで」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法22条2項
所定給付日数は、その者の被保険者であった期間等を基準として定められているが、就職が困難な者については、被保険者期間が短くても長い所定給付日数を保障し、これらの者の求職活動を手厚く支援することとしている。
具体的には、算定基礎期間が1年未満であれば離職の日の年齢に関係なく150日、1年以上であれば離職日の年齢により所定給付日数が異なり45歳未満であるときは300日、45歳以上65歳未満であるときは360日とされている。
よって、本問の場合、算定基礎期間が1年未満であれば150日、1年以上であれば300日となり、「算定基礎期間の長さや離職理由にかかわらず、基本手当の所定給付日数は300日となる」とした問題文は誤りとなる。

(参考)
就職困難者の所定給付日数

1年未満 1年以上
45歳未満 150日 300日
45歳以上 150日 360日
※就職困難者とは、身体障害者、知的障害者、精神障害者、保護観察に付された者、職業のあっせんに関し保護観察所長から公共職業安定所長に連絡のあった者、社会的事情により就職が著しく阻害されている者とされている。(則32条)
なお、特定受給資格者が、就職困難者に該当する場合は、就職困難者としての所定給付日数が適用される。(法23条2項)

(D)正解
法20条3項
受給資格者がその受給期間内に新たに雇用され、基本手当の受給要件を満たした後、離職した場合は、新たな受給資格に基づいてのみ基本手当が支給される。
また、前の受給資格の基礎となった被保険者期間は新しい受給資格の基礎となる被保険者期間には算入しない。
高年齢求職者給付金又は特例一時金の受給要件を満たした場合も、以後は前の受給資格に基づいて基本手当の支給を受けることはできない。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法19条1項
受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得たときは、その収入の基礎となった日数分の基本手当は次のように計算され、全額支給、減額支給、不支給のいずれかとなる。
1.全額支給
「収入の1日分に相当する額−控除額+基本手当日額」が賃金日額の100分の80以下である場合は、基本手当を全額支給
2.減額支給
「収入の1日分に相当する額−控除額+基本手当日額」が賃金日額の100分の80を超える場合(不支給になる場合を除く)は、賃金日額の100分の80を超える額だけ基本手当日額を減額して支給(「収入の1日分に相当する額−控除額+基本手当日額」が賃金日額の100分の80と同額
になるように基本手当を減額して支給)
3.不支給
「(収入の1日分に相当する額−控除額+基本手当日額)−(賃金日額×100分の80)」が基本手当日額以上である場合は、基本手当は不支給となる。
よって、受給資格者が自己の労働による収入を得た場合、その収入の1日分に相当する額から控除額を控除した額と基本手当の日額の合計額が賃金日額の100分の80に相当する額に達しなければ、基本手当は全額支給されることになり、「その収入の1日分に相当する額が賃金日額の100分の80に相当する額に達しなければ」とした問題文は誤りとなる。

  

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