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■平成21年雇用-第7問(雇用保険制度)

雇用保険制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)一般被保険者の求職者給付は、基本手当、技能習得手当、寄宿手当、傷病手当の4つである。

(B)公共職業安定所長が行った失業等給付に関する処分に不服のある者は、当該処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、労働保険審査会に対して審査請求をすることができる。

(C)労働者が雇用保険法第8条に基づき公共職業安定所長に被保険者となったことの確認の請求をした場合、事業主がそれを理由に労働者を解雇することは禁止されており、当該解雇は無効となるが、事業主に対する罰則はない。

(D)雇用保険法における「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うものをいうが、通貨で支払われるものに限られる。

(E)事業主が、雇用安定事業により支給される助成金について、偽りその他不正の行為により支給を受けた場合、政府は、支給した助成金の全部又は一部の返還を命ずるとともに、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた助成金の額の2倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。



■解説

(A)正解
法10条2項
一般被保険者の求職者給付は次のとおりとされている。
(1)基本手当
(2)技能習得手当
(3)寄宿手当
(4)傷病手当
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法69条1項、労審法8条1項
雇用保険の資格の得喪に関する処分、失業等給付の支給に関する処分、不正受給に係る失業等給付の返還命令又は納付命令に関する処分に不服のある者は、原処分のあったことを知った日の翌日から起算して60日以内(正当な理由によりこの期間内に審査請求をすることができなかったことを疎明したときは、この限りでない。)に雇用保険審査官に対して審査請求することができることになっている。
よって、「労働保険審査会」とした問題文は誤りとなる。
なお、審査請求に対する雇用保険審査官の決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
また、審査請求をした日の翌日から起算して3か月を経過しても審査請求についての決定がないときは、当該審査請求に係る処分について、雇用保険審査官の決定を経ないで労働保険審査会に再審査請求することができる。

(C)誤り
法73条、法83条
労働者が法8条の規定により、被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認の請求をしたことを理由に事業主が労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることを禁止しており、この規定に違反した場合は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられることになっている。
よって、「当該解雇は無効となるが、事業主に対する罰則はない」とした問題文は誤りとなる。
なお、不利益な取扱いとなり得るものとしては、配置転換、転勤、減給、賞与の減額、雇用契約の更新拒否その他が考えられる。
また、法73条は、雇用保険制度による労働者の保護を確保しようとする効力規定であると解されるから、本条に違反して解雇がなされた場合は、当該解雇は無効であると解される。

(D)誤り
法4条4項
雇用保険法における「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであって、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く。)とされている。
よって、通貨以外のもので支払われる賃金(現物給与)であっても厚生労働省令で定める範囲のものは「賃金」に含まれることとなり、「通貨で支払われるものに限られる」とした問題文は誤りとなる。
なお、通貨以外のもので支払われる賃金の範囲は、食事、被服及び住居の利益のほか、公共職業安定所長が定めるものとされている。(則2条1項)

(E)誤り
法10条の4第1項
偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の2倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができるとされている。
よって、問題文の規定(返還命令等)は、偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者に対して適用されるものであり、「雇用安定事業により支給される助成金について」とした問題文は誤りとなる。

  

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