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トップページ過去問研究室(雇用保険法) 平成22年雇用-第4問(賃金日額及び基本手当の日額)
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■平成22年雇用-第4問(賃金日額及び基本手当の日額)

賃金日額及び基本手当の日額に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問においては、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者及び船員法第1条に規定する船員である被保険者は含めないものとする。

(A)賃金日額の計算に当たり算入される賃金は、原則として、算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の6か月間に支払われたものに限られる。

(B)賃金日額の計算に当たり、家族手当、通勤手当及び住宅手当は、すべて賃金総額から除外されるので、それらの多寡によって基本手当の日額が異なることはない。

(C)受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によって一定の基準を上回る収入を得た日については、基本手当が減額または不支給となり得るが、その場合の基準及び計算方法に関しては、当該受給資格者が特定受給資格者に当たるか否かによって異なることはない。

(D)基準日に52歳であった受給資格者Aと、基準日に62歳であった受給資格者Bが、それぞれの年齢区分に応じて定められている賃金日額の上限額の適用を受ける場合、Aの基本手当の日額はBのそれよりも多い。

(E)基準日における受給資格者の年齢に関わらず、基本手当の日額は、その者の賃金日額に100分の80を乗じて得た額を超えることはない。



■解説

(A)正解
法17条1項
基本手当の算定の基礎となる賃金は、受給資格者の離職した月に最も近い月の賃金をとるべきであるが、離職した月の賃金のみによって基本手当の算定をすることとすれば、事業主が意図的に離職の月の賃金を名目的に増額し、退職手当金の減額を図るという不正の介在する余地が大きくなり、逆に、たまたま離職した月のみの賃金が通常の月より低い場合には、その離職者にとってはなはだ不利となる結果ともなるため、基本手当算定の基礎となる賃金日額を被保険者が離職した月前の最後の6か月の被保険者期間として計算された月に支払われた賃金の平均日額(6か月間に支払われた賃金の合計を180で除して得た額)によることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法17条1項
賃金日額の算定の基礎となる賃金は、被保険者として雇用された期間に対するものとして、同期間中に事業主の支払義務が確定した賃金とされているため、家族手当、通勤手当及び住宅手当等も賃金総額に含まれる。(賃金総額から除外されるのは、臨時に支払われる賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金である。)
よって、問題文は誤りとなる。
なお、事業主の支払義務が被保険者の離職後に確定したものは、賃金日額の算定の基礎となる賃金には算入されない。(退職金など)

(C)正解
法19条1項
失業の期間中に、職業に就いたのではないが、内職その他自己の労働(短時間就労等)によって収入を得ている場合に、それらの収入を考慮しないで基本手当の全額を支給することは、失業者の最低生活を支えるという基本手当の趣旨からみて適当でないので、その収入額が一定限度を超えるときは基本手当の減額を行うこととしているが、この規定の適用は、当該受給資格者が特定受給資格者に当たるかどうかで基準が異なることはない。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法16条、法17条4項
算定された賃金日額については最高額の制限をするとともに、最低額が保障されており、算定された額が最低額を下回る場合はその最低額、最高額を超える場合はその最高額を賃金日額とすることとされている。
賃金日額の最高額については、離職日において60歳以上65歳未満の者より45歳以上60歳未満の者の方が、高く設定されている。
基本手当の日額は、離職者の賃金日額に応じて最高80%から最低50%の範囲(60歳以上65歳未満の者については最高80%から最低45%の範囲)の率を乗じて得た額とされているが、賃金日額の最高額の適用を受ける者に対しては最も低い給付率が適用されることになっている。
よって、問題文の場合、年齢が45歳以上60歳未満の範囲である受給資格者Aの方が60歳以上65歳未満の範囲である受給資格者Bに比べ高い賃金日額が適用され、基本手当の日額の算出においても受給資格者Aに適用される給付率は50%で、受給資格者Bに適用される給付率は45%であるため、基本手当の日額は受給資格者Aの方が多いことになる。

(E)正解
法16条
基本手当の日額は、離職者の賃金日額に応じて最高80%から最低50%の範囲(60歳以上65歳未満の者については最高80%から最低45%の範囲)の率を乗じて得た額とされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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