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トップページ過去問研究室(雇用保険法) 平成23年雇用-第5問(就職促進給付)
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■平成23年雇用-第5問(就職促進給付)

就職促進給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)就業手当の額は、本来は、現に職業に就いている日について、基本手当日額に10分の3を乗じて得た額であるが、平成24年3月31日までの間に就業した日については、暫定的に、基本手当日額に10分の4を乗じて得た額とされている。

(B)移転費の額は、受給資格者等が住所又は居所を変更するに当たり、その者により生計を維持されている同居の親族を随伴するか否かによって、異なることはない。

(C)受給資格者が離職理由による給付制限を受けた場合、再就職手当の受給のためには、公共職業安定所又は職業紹介事業者の紹介により安定した職業に就いたことが必要であり、友人の紹介で安定した職業に就いたとしても再就職手当が支給されることはない。

(D)特例一時金の支給を受けた者であっても、当該特例受給資格に係る離職の日の翌日から起算して6か月を経過していない場合には、所定の要件を満たせば、常用就職支度手当を受給することができる。

(E)就業手当の支給申請手続は、基本手当の受給のための失業の認定とは無関係であり、当該就業した日が属する月の末日の翌日から起算して1か月以内に、就業手当支給申請書を管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。



■解説

(A)誤り
法56条の3第3項
就業手当の額は、現に職業に就いている日について、基本手当日額に10分の3を乗じて得た額とされているが、この支給額について問題文のような暫定措置は設けられていない。
よって、「暫定的に、基本手当日額に10分の4を乗じて得た額とされている。」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法58条2項、則88条、則89条、則90条
移転費は、鉄道賃、船賃、車賃、移転料及び着後手当の5種類に分けられ、支給を受ける受給資格者等の旧居住地から新居住地までの順路に従って計算した額(着後手当は除く)が支給されることになっている。
鉄道賃、船賃、車賃については、受給資格者等のほか、その者が随伴するその者により生計を維持されている同居の親族についても支給され、移転料は距離に応じて定められているが、親族を随伴しない場合には、その2分の1に相当する金額が支給される。着後手当は、移転費の支給要件に該当する限り鉄道運賃等とともに支給されるものであり、その額は、親族を随伴する場合には38,000円、親族を随伴しない場合は19,000円とされている。
よって、「異なることはない」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
法56条の3、則82条
再就職手当の支給を受けるための基準は次のとおりとされている。
(1)離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと
(2)待期が経過した後、職業に就き又は事業を開始したこと
(3)受給資格による離職について離職理由に基づく給付制限を受けた場合において、待期期間の満了後1か月間については、公共職業安定所又は職業紹介事業者の紹介により職業についたものであること
※したがって、公共職業安定所又は職業紹介事業者の紹介により就職した場合は待期期間の満了後の就職であれば、再就職手当の支給の対象となり、公共職業安定所又は職業紹介事業者の紹介による就職でない場合は待期期間満了後1か月を経過した後に就職したときに再就職手当の支給対象となる。
(4)雇い入れをすることを受給資格の決定に係る求職の申し込みをした日前に約した事業主に雇用されたものでないこと
よって、問題文の場合は他の要件を満たしている限り、再就職手当が支給されることとなるため「再就職手当が支給されることはない」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法56条の3
特例受給資格者が特例一時金の支給を受けると特例受給資格者でなくなるが、特例受給者が特例一時金の支給を受けた後であっても、当該特例受給資格者に係る離職の日の翌日から起算して6か月を経過していない間は、これを特例受給資格者に含めることとし、常用就職支度手当、移転費及び広域求職活動費の支給対象とされている。
これは、特例一時金については、その性質上、1回の支給を受ければそのときに受給資格は消滅するため、もし一定の期間内は常用就職支度手当等を受け得ることとしなければ、短期雇用者がこれらの給付を受け得る機会は極めて限定され、制度の趣旨に沿わなくなるのみならず、基本手当の受給資格者の場合に比し、著しく不均衡となることを考慮したものである。また、支給を受け得る期間を離職後6か月としたのは、通常の季節労働者等の短期雇用者の通例の不就業期間が半年程度であることを考慮して定めたものであるとされている。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法56条の3、則82条の5
就業手当の支給申請は、原則として28日ごとの基本手当に係る失業の認定日に合わせて、公共職業安定所に出頭したうえで行うこととされている。また、失業の認定又は出頭に関して特例が適用され、失業の認定日が変更された場合は、変更後の失業認定日に合わせて就業手当の支給申請を行うこととされている。この際、就業手当支給申請書に基づき、公共職業安定所長が前回の失業認定日以後失業の認定日の前日までに行った就業について確認し、支給決定を行うこととされている。
よって、「基本手当の受給のための失業の認定とは無関係であり、当該就業した日が属する月の末日の翌日から起算して1か月以内」とした問題文は誤りとなる。

  

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