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■平成24年雇用-第7問(雇用保険制度)

雇用保険制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)「人」の代理人、使用人その他の従業者が、その「人」の業務に関して、雇用保険法第83条から第85条までの各号に掲げる違反行為をしたとき、行為者が罰せられるほか、その「人」に対しても雇用保険法第83条から第85条までに掲げる懲役刑が科せられることがある。

(B)労働政策審議会は、厚生労働大臣の諮問に応ずるだけでなく、必要に応じ、雇用保険事業の運営に関して、関係行政庁に建議し、又はその報告を求めることができる。

(C)雇用保険法第9条の規定による、労働者が被保険者でなくなったことの確認に関する処分が確定したときは、当該処分についての不服を、当該処分に基づく失業等給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。

(D)失業等給付に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する雇用保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない。(一部改正)

(E)雇用保険法においては、国庫は、同法第64条に規定する職業訓練受講給付金の支給に要する費用の一定割合を負担することとされている。



■解説

(A)誤り
法86条1項
法人(法人でない労働保険事務組合を含む。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関して、雇用保険法第83条から第85条までの各号に掲げる違反行為をした場合に、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても罰金刑が科される。違反行為の防止のためには、単に行為者を罰するのみでなく、代表者、代理人等の行為について本人をも罰則の対象とすることにより、さらにその効果が期待されるからである。罰金刑に限定されているのは、法人の場合は本質的に懲役刑は科し得ないわけであり、自然人の場合は不可能ではないが、連座的に懲役刑までを科するのは行き過ぎと考えられるからである。
よって、「懲役刑が科せられる」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
法72条2項
労働政策審議会は、厚生労働大臣の諮問に応ずるほか、必要に応じ、雇用保険事業の運営に関し、関係行政庁に建議し、又はその報告を求めることができる。
よって、問題文は正解となる。
なお、「諮問」とは、厚生労働大臣が雇用保険事業運営上の重要事項について、労働政策審議会に対して意見を聴くことであり、法律上その答申に拘束されないが、それを尊重しなければならないのは当然であるとされている。

(C)正解
法70条
失業等給付に関する法律関係をはじめ、各種の法律関係の速やかな安定を図るため、被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認制度の趣旨等に反しないよう、先行行為である被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認処分が確定したときは、これらの処分についての不服を後行行為についての不服の理由とすることができないように制限されている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法71条
失業等給付に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する雇用保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができないことになっている。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
法66条1項
国庫は、原則として、日雇労働求職者給付金以外の求職者給付(高年齢求職者給付金を除く。)についてはその要する費用の4分の1、日雇労働求職者給付金についてはその要する費用の3分の1、雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金を除く。)についてはその要する費用の8分の1、広域延長給付が行われる場合は、広域延長給付を受ける者の係る求職者給付に要する費用の3分の1、就職支援法事業として支給する職業訓練受講給付金に要する費用の2分の1を負担することとしているが、就職促進給付、教育訓練給付、高年齢求職者給付金、高年齢雇用継続給付、雇用保険二事業については、国庫負担は行われない。
よって、問題文は正解となる。
なお、負担率については、当分の間、原則の負担割合による額の100分の55(平成29年度から平成31年度までの各年度においては、100分の10)に相当する額とされている。(法附則13条、法附則14条)

  

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