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トップページ過去問研究室(雇用保険法) 平成26年雇用-第2問(基本手当)
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■平成26年雇用-第2問(基本手当)

基本手当の支給に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組み合わせは、後記AからEまでのうちどれか。
なお、以下において「賃金日額」とは雇用保険法第17条に規定する賃金日額であり、「算定基礎期間」とは雇用保険法第22条第3項に規定する算定基礎期間のことである。


(ア)受給資格に係る離職の日において60歳以上65歳未満である受給資格者に係る基本手当の日額は賃金日額に100分の45を乗じて得た金額を下回ることはない。

(イ)受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得たときは、収入を得るに至った日の後における最初の失業の認定日に、管轄公共職業安定所長にその収入の額を届け出なければならない。

(ウ)受給資格者が失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得た場合、その収入の1日分に相当する額に雇用保険法第19条第2項に定める額を控除した額と基本手当の日額との合計額が賃金日額の100分の80に相当する額を超えないときは、基本手当の日額に100分の80を乗じ、基礎日数を乗じて得た額を支給する。

(エ)基本手当の受給資格に係る離職の日において55歳であって算定基礎期間が25年である者が特定受給資格者である場合、基本手当の受給期間は基準日の翌日から起算して1年に30日を加えた期間となる。

(オ)受給資格者が求職の申込みをした日の翌日から3日間、疾病により職業に就くことができなくなったときは、他の要件を満たす限り、当該求職の申込をした日の11日目から基本手当が支給される。

(A)(アとイ)

(B)(アとウ)

(C)(イとエ)

(D)(ウとオ)

(E)(エとオ)



■解説

(ア)正解
法16条2項
基本手当の日額は、賃金日額に離職者の賃金日額に応じて100分の80から100分の50までの範囲で定めた率を乗じて得た金額とされているが、受給資格に係る離職の日において60歳以上65歳未満である者については、中心となる給付率が100分の80から100分の45とされている。これは、高齢期においては賃金が年齢とともに低下する傾向にあることから、他の年齢層と同じ給付率とすると60歳以上65歳未満の高賃金層の者を中心に基本手当の水準が割高になり過ぎ、高齢者の再就職賃金の実態を勘案すれば、他の年齢層と比較して再就職の大きな阻害要因となることから、特に高賃金層について基本手当の日額が高くなり過ぎないよう、給付利率について必要な調整を行うこととしたためである。
よって、問題文は正解となる。

(イ)正解
法19条3項、則29条1項
失業の期間中に、職業に就いたのではないが、内職その他自己の労働(短時間就業等)によって収入を得ている場合に、それらの収入を考慮しないで基本手当の全額を支給することは、失業者の最低生活を支えるという基本手当の趣旨からみて適当ではないので、その収入が一定額を超えるときは基本手当の減額を行うこととしている。
そして、受給資格者が失業の認定を受けた期間中に自己の労働によって収入を得た場合には、収入を得るに至った日の後における最初の失業の認定日に、管轄公共職業安定所長にその収入の額を届け出なければならないことになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、この届出を怠って基本手当の支給を受けた場合は原則として不正受給として扱われる。

(ウ)誤り
法19条1項
受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得たときは、その収入の基礎となった日数分の基本手当は次のように計算され、全額支給、減額支給、不支給のいずれかとなる。
1.全額支給
「収入の1日分に相当する額−控除額+基本手当日額」が賃金日額の100分の80以下である場合は、基本手当を全額支給
2.減額支給
「収入の1日分に相当する額−控除額+基本手当日額」が賃金日額の100分の80を超える場合(不支給になる場合を除く)は、賃金日額の100分の80を超える額だけ基本手当日額を減額して支給(「収入の1日分に相当する額−控除額+基本手当日額」が賃金日額の100分の80と同額
になるように基本手当を減額して支給)
3.不支給
「(収入の1日分に相当する額−控除額+基本手当日額)−(賃金日額×100分の80)」が基本手当日額以上である場合は、基本手当は不支給となる。
よって、問題文の場合は基本手当が全額支給されることになり、「基本手当の日額に100分の80を乗じ、基礎日数を乗じて得た額を支給する。」とした問題文は誤りとなる。

(エ)正解
法20条1項
基本手当の受給期間は、原則として、基準日(受給資格に係る離職の日)の翌日から起算して1年であるが、所定給付日数が360日の受給資格者は1年と60日、所定給付日数が330日の受給資格者は1年と30日となる。
基準日において45歳以上60歳未満である特定受給資格者の算定基礎期間が20年以上である場合の所定給付日数は330日となるため、問題文の事例の場合の受給期間は、基準日の翌日から起算して1年に30日を加えた期間となる。
よって、問題文は正解となる。

(オ)誤り
法21条
基本手当は、受給資格者が当該基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して7日に満たない間は、支給されないことになっている。(待期期間)
問題文の事例の場合は求職の申込みをした日の8日目から基本手当が支給されることになるので、「当該求職の申込をした日の11日目から基本手当が支給される。」とした問題文は誤りとなる。
なお、7日の待期期間中に「その者が職業に就いた日」があるときは、失業している日ではないので、待期期間に含まれない。

※誤っているものの組合せは、(ウ)と(オ)であるため、(D)が正解となる。

  

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